医療・医薬・福祉

日本初*「腸内細菌叢バンク」が始動

メタジェンセラピューティクス株式会社
~2024年4月より、腸内細菌ドナー候補者の登録受付を開始~

腸内細菌研究に基づいた医療・創薬を推進するメタジェンセラピューティクス株式会社(本社:山形県鶴岡市、代表取締役社長CEO:中原拓)は、2024年4月2日より、日本初*の腸内細菌叢バンク「J-Kinsoバンク」の運用および、腸内細菌ドナーの募集( https://www.j-kinso-bank.com )を開始いたします。




「J-Kinsoバンク」は、日本初*の、腸内細菌を活用した医療技術や医薬品の開発を目的とした腸内細菌叢バンクです。J-Kinsoバンクでは、便を提供する「腸内細菌ドナー」を募集し、スクリーニングを実施します。適格となったドナーの便は、腸内細菌の抽出等の製造工程を経て、腸内細菌叢移植(Fecal Microbiota Transplantation、以下FMT)の臨床試験に使用されます。また、ドナーの便を、腸内細菌を活用した医薬品の研究開発にも活用します。
*腸内細菌を用いた医療技術および医薬品の研究開発への活用を目的とした腸内細菌叢バンクとしては日本初。当社調べ(2024年4月2日時点)。

近年の研究により、腸内細菌叢の乱れは、がん、潰瘍性大腸炎、パーキンソン病、アレルギーなど、さまざまな疾患と関連することが明らかになっています*1。腸内細菌に関する研究の進展とともに、世界では腸内細菌を「医療」において活用する動きが広がっており、米国やオーストラリアで腸内細菌による医薬品が承認されています。

日本では、2023年1月より先進医療Bとして潰瘍性大腸炎を対象とした「抗菌薬併用腸内細菌叢移植療法」が承認され、FMTの有効性・安全性の検証が進んでいます。今後日本において、FMTを社会実装し、腸内細菌医薬品の開発を推進するためには、「腸内細菌ドナー」の協力が不可欠です。

メタジェンセラピューティクスは、2024年4月2日より、「J-Kinsoバンク」における「腸内細菌ドナー候補者」の登録受付を開始しました。登録希望者には、ウェブサイト(https://www.j-kinso-bank.com)にて、ウェブ問診に回答いただき、安全性基準を満たした方を「腸内細菌ドナー候補者」として登録いたします。ドナー候補者のうち、医療機関での適格性検査を通過した方のみ、正式に「腸内細菌ドナー」としての「献便(便の提供)」が可能となります。なお、すべての検査を通過し「腸内細菌ドナー」となる方は、ウェブ問診回答者のうち約10%と推定されています*2。



腸内細菌ドナーによる献便は、4月2日より当面の間、順天堂大学医学部附属順天堂医院(東京都文京区)内の所定の場所にて実施されます。メタジェンセラピューティクスは、今後日本国内複数箇所に「献便施設」を設け、より多くの腸内細菌ドナーに献便を行っていただける環境を整えてまいります。



順天堂大学医学部消化器内科 准教授/メタジェンセラピューティクス株式会社取締役CMOの石川 大は、以下のように述べています。
「J-Kinsoバンクは、腸内細菌叢を必要とする患者さんと、提供するドナーをつなぐ仕組みです。そして、腸の“健康のバトン”をつなぐ、これまでにない全く新しいバンクです。健康な人の腸内細菌が、本バンクを通じて多くの患者さんとシェアされ、病気の治療につながる。そんな未来が目の前まで迫っています。これまで順天堂大学とメタジェンセラピューティクスは、FMTという医療技術を安全に患者さんにお届けするために、臨床研究を重ねてきました。今後FMTは、医療技術としてのみではなく、医薬品に形を変え、より患者さん負担の少ない治療の選択肢となる可能性を秘めています。研究をさらに進め、その成果を多くの患者さんにお届けするためには、ドナーの皆さまのご協力が必要です。何卒、ご協力をお願いいたします」

メタジェンセラピューティクスは、「J-Kinsoバンク」を通じて、腸内細菌による医療技術開発や医薬品開発のさらなる推進のため、腸内細菌ドナーを募ってまいります。また、より多くのドナーに献便を行っていただけるような環境を整え、健康な人の腸内細菌を、必要とする患者さんに届けることができる「腸内健康シェア社会」の実現を目指してまいります。

腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)について
ヒトの腸管には約1,000種、40兆個以上*3腸内細菌が生息しており、その細菌の集団を腸内細菌叢(腸内フローラ)と言います。

腸内細菌叢移植(FMT)について
腸内細菌叢移植(FMT)は、健康な人の便に含まれている腸内細菌叢を、疾患を持つ患者さんの腸に移植し、バランスのとれた腸内細菌叢を再構築する治療方法です。2023年1月より、潰瘍性大腸炎を対象とした「抗菌薬併用腸内細菌叢移植療法」が先進医療Bとして開始されました。メタジェンセラピューティクスは同先進医療の共同研究機関として、便ドナーのリクルーティング、便検体の管理、腸内細菌叢溶液の調製、品質管理などに係る支援業務を提供しています。

<参考リリース>
潰瘍性大腸炎を対象とした「抗菌薬併用腸内細菌叢移植療法」が先進医療Bとして承認、2023年1月より実施
https://www.metagentx.com/news/230104_senshinb/

「がん」と腸内細菌について
がんの治療において、免疫チェックポイント阻害薬により治療の選択肢が広がっている一方で、治療効果が得られない患者さんの治療に対しての新たな戦略が必要とされています。近年の研究*4では、免疫チェックポイント阻害薬による治療効果が得られない患者さんに対して、腸内細菌叢を調節することで治療の奏効割合が改善される可能性が示唆されています。

「潰瘍性大腸炎」と腸内細菌について
潰瘍性大腸炎は国内で最も患者数の多い指定難病です。発症年齢のピークは20代*5で、患者数は20万人以上*6と推定されています。腹痛や慢性の下痢、粘血便などの症状が現れ、患者さんのQOL(生活の質:Quality of Life)に大きな影響を与えます。腸内細菌叢の乱れが潰瘍性大腸炎の発症や増悪の要因の一つであることが示唆されています。

「パーキンソン病」と腸内細菌について
パーキンソン病は、中脳にある黒質の神経細胞の中にαシヌクレインが蓄積することで黒質細胞が減少しドーパミンが減少する、中枢神経変性疾患です。日本では、パーキンソン病は指定難病であり、患者数は約29万人*7とされています。高齢になるほど発症率が高まるため、患者数は増加傾向にあり、2030年には全世界で3000万人が罹患すると予測されています。近年の研究*8では、パーキンソン病の病態と腸内細菌叢の関係や、腸内細菌叢を調節することで治療の奏効割合が改善される可能性が示唆されています。

メタジェンセラピューティクス株式会社について
メタジェンセラピューティクス株式会社は「マイクロバイオームサイエンスで患者さんの願いを叶え続ける」ことをミッションとして、腸内細菌研究に基づいた医療と創薬でソーシャルインパクトを生み出す大学発ベンチャーです。 順天堂大学の医師と慶應義塾大学、東京工業大学の研究者が共同創業し、「腸内細菌叢移植(FMT)」の社会実装と、「FMT起点のリバーストランスレーショナル創薬」を推進しています。現在は、免疫疾患(炎症性腸疾患)、がん、中枢神経系疾患、アレルギー疾患領域の開発に注力しています。現在メタジェンセラピューティクスでは人材採用を積極的に進めております。募集中のポジションはhttps://www.metagentx.com/careers/をご覧ください。募集中のポジションに当てはまるものがなくとも、マイクロバイオームサイエンスでイノベーションを起こす仲間に入っていただける方は hr@metagentx.com までご連絡ください。

<会社概要>
会社名:メタジェンセラピューティクス株式会社(略称 MGTx)
本社所在地:山形県鶴岡市覚岸寺字水上246-2
東京事務所:東京都港区虎ノ門1丁目17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー 15階
代表者:代表取締役社長CEO 中原拓
設立日:2020年1月17日
事業内容:マイクロバイオームサイエンスを活用した創薬・医療事業
URL:https://www.metagentx.com


出典:
1. Sorbara MT, Pamer EG. Microbiome-based therapeutics. Nat Rev Microbiol. 2022;20(6):365-380.
2. Benard, M. V. et al. Challenges and costs of donor screening for fecal microbiota transplantations. PLoS One 17, e0276323 (2022)
3.Sender, R., Fuchs, S. & Milo, R. Revised Estimates for the Number of Human and Bacteria Cells in the Body. PLoS Biol. 14, e1002533 (2016)
4.Davar D, Dzutsev AK, McCulloch JA, et al. Fecal microbiota transplant overcomes resistance to anti-PD-1 therapy in melanoma patients. Science. February 4, 2021. DOI: 10.1126/science.abf3363
5.難病情報センター,潰瘍性大腸炎, https://www.nanbyou.or.jp/entry/62
6.平成28年度 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業 難治性炎症性腸管障害に関する調査研究 総括研究報告書
7.令和2年 患者調査 傷病分類編
8.Nishikawa H. et al., Movement Disorder 2020 Sep;35(9):1626-1635
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