治療・予防

うつす可能性あれば対処を
~新型コロナ感染対策(グローバルヘルスケアクリニック 水野泰孝院長)~

 新型コロナウイルスが感染法上、季節性インフルエンザと同じ5類感染症に移行して1年半余り。現在も多くの感染者が出ている中、対策やワクチン接種などについて、感染症が専門のグローバルヘルスケアクリニック(東京都千代田区)の水野泰孝院長に聞いた。

主な罹患(りかん)後症状

主な罹患(りかん)後症状

 ◇症状あれば休む

 「新型コロナはこれまで、夏と冬に増え、春と秋に減少するパターンを繰り返してきました。今後もそうした傾向は大きく変わることはないでしょう」と話す。

 感染対策は「基本的に変わりはありませんが、大事なのは、周囲にうつす可能性のある人の行動です」。全般的に軽症化して危機感が薄れている傾向があり、「症状があっても検査を受けない人、気にせず出勤する人が増えたように感じます。せきがひどいのにマスクをせず病院を受診する人もいます」と指摘する。

 現在、マスク着用などは個人の判断に委ねられている。「人混みで皆がマスクをする必要はないでしょう。ただし症状のある人は、周りの人にうつさないよう仕事を休む、せきが出るならマスクを着ける、といった『せきエチケット』が重要です」

 ◇適切な治療は後遺症回避にも

 今秋からは、65歳以上の高齢者、基礎疾患を持つ60~64歳の人を対象とした定期接種が始まり、費用は一部自己負担(最大7千円程度)になる。

 「ワクチンは、メリットがデメリットを大幅に上回る場合に推奨されるべきです。開発当初は有害事象(デメリット)のデータが少なく、治療薬もなかったため、重症化予防の唯一の手段として推奨されました。ただ今は接種回数が増え、重大な有害事象が見過ごせない状況になっていると考えています」

 罹患(りかん)後症状と呼ばれる、いわゆる後遺症も気になる。厚生労働省が19~70歳の約4300人を対象に実施したアンケート調査結果(2023年度)によると、成人の20人に1人が感染して1年半後も睡眠障害、疲労・倦怠(けんたい)感、集中力低下などの症状が残ったと回答した。

 「今は、抗ウイルス薬があり、感染後に同薬でウイルスを早く減らせば、罹患後症状の抑制になるかもしれません」と水野院長。早期に適切な治療を受けることは、後遺症の回避にも有効なようだ。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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