日本製薬団体連合会安定確保委員会は、毎月実施している製造販売企業への医療用医薬品の供給状況に関する今年(2024年)11月の調査結果を12月16日に公式サイトで発表した。11月における医薬品の供給状況については、内服用と注射薬は10月から改善したものの外用薬が悪化したため、全剤形として改善していないことが分かった。
通常出荷以外は2,079品目と改善得られず
近年の医療用医薬品の供給不足を受け厚生労働省は、今年4月から製造販売企業に供給状況の報告を求めている。日本製薬団体連合会安定確保委員会は毎月供給状況を調査し、厚労省はその結果の一部を同省公式サイトで公表している。
11月の医薬品供給状況の調査は、今年11月末時点で薬価収載されている全ての医薬品を対象に、11月27日~12月10日に実施された。
調査内容は、①製造販売企業の「出荷対応」の状況、②限定出荷/供給停止の理由、③限定出荷の解除見込み/供給停止の解消見込み、④製造販売企業の「出荷量」の状況、⑤製造販売企業の供給情報に関するHPのURLなど―。
分析の結果、①について通常出荷できているのは1万3,216品目(薬価削除予定の品目を除外)で、全体の86.4%を占めた。一方、通常出荷以外は2,079品目(13.6%)あり、うち422品目(2.8%)が供給停止、1,657品目(10.8%)が限定出荷だった。限定出荷の理由の内訳は、自社の事情が605品目(4.0%)、他社製品の影響が899品目(5.9%)、その他が153品目(1.0%)。
後発品においては通常出荷以外(薬価削除予定の品目を除外)が1,189品目(17.1%)と報告された。
この結果、前月の通常出荷以外の割合(全体13.8%、後発品17.1%)と比較して、11月は医薬品供給が改善していないことが見て取れた。
内服薬は0.5%ポイント、注射薬は0.6%ポイント改善
さらに、①の通常出荷以外について剤形別に見たところ、内服薬および注射薬は前月から改善していた〔内服薬:1,302品目(13.0%)→1,243品目(12.5%)、注射薬:592品目(17.3%)→559品目(16.7%)〕。一方、外用薬は243品目(11.8%)→277品目(13.6%)へと悪化したため、全剤形として通常出荷以外の改善が得られていないことが分かった。
直近では季節性インフルエンザの流行に伴い、関連薬剤の不足が危惧されている。
日本製薬団体連合会安定確保委員会は、限定出荷品目において限定出荷解除により通常出荷となりうる成分規格について、昨年5月調査発表分から公表している。製造販売企業に対しては、リストの確認、限定出荷解除の検討を呼びかけている。
(編集部・田上玲子)