帝人株式会社 ヘルスケアコネクト企画開発部
山形県下の2次医療圏ごとに現地開催とオンライン配信のハイブリッド形式で全4回の研修を実施
訪問看護師向けウェブメディア「NsPace(ナースペース)」を運営する帝人株式会社(本社:大阪市北区/社長:内川 哲茂)は、山形県看護協会・山形県訪問看護総合支援センター・山形県訪問看護ステーション連絡協議会との共催で、山形県下の2次医療圏ごとに訪問看護事業所向けの法定研修会を開催。山形県内4エリアを巡業しながら、現地開催とオンライン配信のハイブリッド形式で全4回の研修を実施します。
訪問看護事業所の法定研修に関する課題
介護保険法上、自治体等に指定された訪問看護ステーションには必ず実施しなければならない研修があります(いわゆる「法定研修」)。法定研修は適切な運営を行うために欠かせませんが、慢性的な人手不足に苦しむ訪問看護ステーションは多く、実施にあたってコスト面や工数面で悩みを抱えるケースが多い現実があります。
こうした各事業所の負担を軽減すべく、帝人株式会社と山形県看護協会、山形県訪問看護総合支援センター、山形県訪問看護ステーション連絡協議会は、山形県下の2次医療圏ごとに法定研修会を企画しました。
第1回 2024年7月24日(水)高齢者虐待防止(山形県村山エリアにて開催)
第2回 2024年9月3日(火)業務継続計画(BCP)(山形県置賜エリアにて開催)
第3回 2024年10月9日(水)ハラスメント対応(山形県庄内エリアにて開催)
第4回 2024年10月19日(土) 感染症の発生およびまん延防止(山形県最北エリアにて開催)
ここからは、すでに開催された第1回 法定研修会の模様をお伝えします。
第1回 法定研修会(高齢者虐待防止研修)の様子
第1回 法定研修会は、2024年7月24日(水)に山形県 村山地区の訪問看護会館にて開催。講師として山形県看護協会「訪問看護ステーションやまがた」の所長を務める山川一枝さんが登壇し、現地会場に27名、オンライン会場に48名、計75名の参加者が集いました。
前半の講座では、事業所が高齢者虐待を防止し、早期発見と適切な対応を行うための5つの規定(委員会の設置、指針の整備、従事者の研修など)について解説。また、高齢者虐待防止法に基づく虐待の分類(身体的・心理的・性的・経済的・ネグレクト)や、それぞれの深刻度1~4(虐待の程度)についても理解を深めました。参加者の皆さんは一様に真剣な表情で講義を受けていました。
その後は、虐待の兆候を察知し、「チーム全体で虐待のリスク要因を判断する」というプロセスを体験するため、現地参加者とオンライン参加者がそれぞれグループに分かれて症例検討会を実施。虐待が発生する社会背景や虐待者側の要因などについて、さまざまな可能性を考えながら真剣に意見を交わす様子がみられました。虐待を通報する基準についての質問も挙がり、より実践的な学びを深めている様子が印象的でした。
症例検討会・グループディスカッションの様子
最後に全体の振り返りをし、高齢者虐待防止にまつわる研修会は終了。参加者にはオリジナルの受講証明書も渡されました。
参加した方々のご感想は以下のとおりです。
・「法定研修の実施が決まり、対応に悩んでいた時に山形県看護協会から案内があり参加しました。事業所を少数で運営しており、研修日程の調整も難しいため、こうした企画はとても助かりました」
・「貴重な機会で、資料もわかりやすいので本当にありがたいです。発表者用の資料やスライド集もあるので(※)、これを使ってスタッフ向けに研修を行います」
・「迅速にチームに情報共有をする重要さ、虐待者の背景にも目を向けてリスクを減らしていくことの大切さを改めて認識しました」
・「高齢者虐待防止には、社会環境、家族、虐待者側、被虐待者側などと多方向の要因からアプローチしていく必要があることを再確認できました。深刻度や具体例の資料が特に参考になりました。ここで得た知識をふまえて、兆候を見逃さずに対応していきたいです」
※本研修で使用された資料(「高齢者虐待をよく知ろう|スライド集.pdf」、「高齢者虐待をよく知ろう|発表者用資料.pdf」)は、
訪問看護師向けウェブメディアNsPace「お役立ちツール」にてダウンロード可能(NsPace会員限定)
負担軽減とリーダーシップ育成に繋がる
本研修会について、山形県看護協会の菅野理事や講師の山川氏のコメントもご紹介します。
菅野 弘美氏山形県看護協会 常任理事(2021年6月~)
山形県訪問看護総合支援センター長(2024年4月~)
当訪問看護総合支援センターでは、これまで多くの技術研修・管理者研修等を行ってきましたが、法定研修については各事業所にお任せしていました。しかし、訪問看護事業所の管理者の皆様にお話を伺う中で、法定研修の負担の大きさは認識していましたので、県内の訪問看護事業所が合同で法定研修を実施できれば、各事業所の負担軽減に貢献できると考えたんです。実際に管理者の皆様からも喜びの声が届いています。
在宅医療は横との連携が重要で、私たちも日頃から地域の訪問看護事業所の管理者の集まり(ブロック会議)を開催したり、チャットを通じてコミュニケーションを取り合ったりしています。今回も研修とブロック会議をセットで開催しており、こうした機会を通じて横のつながりも深めていっていただければと考えてます。また、今回の研修の講師は4回とも山形県内の方に依頼しました。こうしたご登壇の機会を通じて、地域内でリーダーシップを発揮する人材の育成にも繋がればと考えています。
山川 一枝氏山形県看護協会 訪問看護ステーションやまがた 所長
訪問看護23年目。訪問看護に関する講演多数
今回講師を担当させていただいた「高齢者虐待防止」は大変難しいテーマで、一概に「ここからが虐待」と線引きしづらく、マニュアルどおりにいかないことも多いものです。だからこそ、兆候察知からリスク要因まで、ケアマネジャーを含むチームで共通認識を持ち、迅速に対応できるような体制をつくっておくことが重要だと思います。今回の講義やディスカッション等を通じて得た知識や気づきを、各チームに持ち帰っていただければ幸いです。
また、私も訪問看護事業所の管理者をしていますが、法定研修は代表者が外部の研修に参加する際の費用や訪問スケジュールの調整、事業所内で研修を実施する際の準備等の負担があります。そもそもニーズに合った外部研修をみつけられず、困ることもありました。「みんなが実施しなければいけないなら、合同でできればいいのに」と思っていたので、今回の研修のお話は本当に助かりました。講師用の投影資料や台本もあるため、多少のアレンジは加えたもののほとんど準備がいらず、負担が少なく済みました。
本研修は山形県内の訪問看護ステーションに向けた取り組みですが、全国的に人手不足に苦しむ訪問看護ステーションは多く、こうした効率化や地域内での連携はますます重要になっていくことが予想されます。
帝人株式会社では、今後も「NsPace(ナースペース)」での情報発信や訪問看護師向け研修会の実施等の取り組みを行い、訪問看護業界への一層の貢献を目指してまいります。
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(2024/09/12 10:00)
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