2024/11/13 05:00
「おひとりさま」の効用~ポジティブな孤独
震災で大きな被害を受けた岩手県陸前高田市に、地元の方々の交流の場として、震災後すぐにつくられた小さな仮設のカフェがありました。地元の歯科医院や内科医院の先生方と、その家族を中心とした皆さんがつくったカフェです。
吉田和子さん
私も復興庁の被災地サポート事業の際、何度かお邪魔しました。今では立派な本設になり、見違えるようです。その「りくカフェ」を立ち上げたコアメンバーの一人、歯科衛生士、吉田和子さんにお話を伺いました。
◇震災後のコミュニティーの場
海原 震災から8年になります。陸前高田は本設の商店街もでき、りくカフェも本設になり、ずいぶん復興が進んだ感じがします。りくカフェは震災直後から地域の方のための交流の拠点でしたね。
吉田 りくカフェは、震災以前からのつながりがもとになってできたカフェなんです。20年ほど続いていた、全国からサイクリストが集まる三陸サイクルロードレースという催しがあるのですが、たまたま、うちの歯科医院を設計した設計士のつながりで当時、東京大学准教授だった都市工学者の小泉秀樹さんも3回ほど参加していました。
そんなご縁で小泉さんとつながりがあったので、震災直後、都市工学まちづくりに関わっていた彼はいち早く、陸前高田に入ってくれ、わが家を訪ねて来てくださり、震災直後からうちに泊まって、街の様子を見ることになりました。
仮設のりくカフェ
そのうち、わが家に支援の方や、近所の方も寄ってくださり、お茶などを提供しました。そこで、震災後コミュニティーの場所があるとよいのだと小泉さんは考え、私たちに相談してくださったわけです。
これが、りくカフェの始まりです。開設時はコミュニティーの場所としての役割が目的でした。地元の方ももちろんですが、支援に来た方とか、震災後の様子を見に来た方のために良い拠点だった気がします。
◇健康の拠点にも
海原 最初はトイレがなくて、私も2013年のクリスマスにカフェで岡淳さんのジャズのグループとご一緒にライブをした時は、隣の歯科医院のトイレまで走った記憶があります。今は本設でトイレも完備ですね。
吉田 支援団体や全国の支援者からの寄付で、厨房やトイレを完備した本設を建設しました。そして、りくカフェ理事長の内科医師の鵜浦章先生が健康食を出すことを提案しました。健康の拠点になってほしかったのです。
2013年クリスマスライブの際に皆さんと
岩手県は高血圧の人、糖尿病の人が多いんです。医者にかかり「塩分を控えなさい」「カロリーを少なめに」と言われても分かりにくい。だから、実際食べてもらうことで、理解して意識してもらうことを目的にしたのです。
塩分を2~3グラム、カロリーを500~600キロカロリーにして、地元の野菜を使い、手切りなど手間ひまかけて、心を込めて作るランチにしよう。こういうコンセプトでスタートしました。
誰もが楽しく集える場、市内外を結ぶ懸け橋、健康と生きがいづくりの場、を私たちの三つの柱にしています。
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