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働き方や生活環境の変化により、夜遅くに食事を取る人が増えている。厚生労働省の統計によると、夜9時以降に食事をする人は、40代の男性の場合、約3人に1人、女性では約5人に1人の割合だ。その中には、夜食症候群という夕食後も食べたい欲求が収まらない摂食障害が紛れているという。公益社団法人結核予防会総合健診推進センター(東京都千代田区)の宮崎滋センター長に話を聞いた。
朝と昼は食欲がわかず、夜になると強い食欲が
▽不眠症を伴うことも
夜食症候群の主な症状は、夕食後の大食いだ。1日の摂取カロリーの25~50%以上を夕食後に取ってしまう。不眠症を合併していることが多く、食べないと眠れないと思い、夜中に起き出して食べてしまうこともある。朝は食欲がなく、夕方以降に気分が落ち込む抑うつ状態になるのも特徴だ。
宮崎センター長は「夜食症候群は30~40代の働き盛りの男性に多く、夜遅く食べてはいけないことは本人も分かっていて後悔するのですが、それが病気だと気付いていないことが大半です」と説明する。職場では自分で仕事の量や時間の調節がしづらい中間管理職が多く、日々のストレスを食欲で発散している形だという。
夜遅い食事や間食が習慣化すると、ホルモンバランスが崩れる。食欲を抑制するレプチンや増進させるグレリン、睡眠に関与するメラトニンやストレスに対抗するコルチゾールといったホルモンの働きが低下し、分泌のリズムが乱れてしまう。
▽気付きが治療のカギ
重要なのは、夕食後や夜中の大食いが普通の状態ではないことに気付くことだ。宮崎センター長は「本人の気付きがないと治療に結び付きません。病気をよく知り、強い摂食欲求が出た場合の対処法なども学ぶ必要があります」と話す。
治療は食生活の状態を詳細に聞くことから始め、ストレスの根源を探り、抗うつ薬を使った薬物療法を試みる。加えて、認知行動療法で摂食欲求を強めているストレスに対する受け止め方を変え、それを取り除いていく。職場でのストレスの場合、個人ではなかなか解決できない部分もあるので、場合によっては上司と話し合い、働き方を変えるなどの工夫も必要になる。
夜食症候群は、気付かぬうちに肥満や糖尿病などの生活習慣病につながりかねない。宮崎センター長は「朝も昼も食欲が無く、夜間になると食べたくて仕方がないという人は、食べている時間や量を振り返り、一度、産業医や心療内科に相談してください」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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