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月経時に出血が多かったり、月経でないのに出血したりすることがある。そんな悩みを持つ女性は「子宮内膜異型増殖症」かもしれない。山王病院(東京都港区)リプロダクション・婦人科内視鏡治療センター長の堤治病院長は「子宮の内腔(ないくう)を覆っている内膜が何らかの原因で厚くなる病気ですが、細胞の形態に通常と異なる『異型』が見られる場合はがんの一歩手前です」と警鐘を鳴らす。
生理でない不正出血には気を付けて
▽放置するとがん化も
子宮内膜は、排卵に備えて女性ホルモンであるエストロゲンの働きで厚みを増していき、排卵後はプロゲステロンの分泌により厚みを保つ。そして、妊娠しない場合は厚くなった子宮内膜が剥がれ落ちて、体外に排出されて薄くなる。これが月経である。ところが、エストロゲンの分泌が過剰になって、増殖と剥離のプロセスがうまく機能しなくなると、子宮内膜が異常に分厚くなる。
この状態を子宮内膜増殖症と呼び、細胞異型があるのが子宮内膜異型増殖症だ。症状としては、月経血の増加や、月経時でないのに出血(不正出血)が起こる。また、出血過多による貧血や、不妊になることもあるという。
子宮内膜増殖症の治療では、増殖した子宮内膜を体外に排出させるため、プロゲステロン剤によるホルモン療法が行われる。多くはこれで治癒するが、「異型が現れたケースを放置しておくと、子宮体がんにつながる可能性があります。異型のある人では、がんに移行する人が20%とされています」と堤院長。
異型が存在した場合、治療は子宮の全摘出が基本となるが、現在は腹腔鏡手術で傷痕は最小限に抑えられる。ただし、子どもがほしい場合は、子宮を残してがん化のリスクと闘いながら、ホルモン剤による治療を行いつつ妊娠を待つことになる。
▽背景に生活習慣病
エストロゲンの過剰分泌が起きる背景として、生活習慣病、月経不順、卵巣機能の低下などが考えられている。このうち生活習慣病が原因となる理由は、エストロゲンが脂肪からも分泌されるためで、脂肪過多となる肥満、糖尿病、糖代謝異常などの女性に多い。一方、妊娠中の場合はプロゲステロン優位の状態なので子宮内膜の増殖はない。
「昔の女性は多産で、妊娠、出産を繰り返していたので、子宮内膜異型増殖症は多くありませんでした。しかし、未婚や未産の方が多く、肥満女性も増えた現代では、増加傾向にあります」と堤院長。しかも、月経開始年齢が下がっているので、低年齢化が顕著になっているという。
「子宮内膜異型増殖症を防ぐためには、肥満、糖尿病など生活習慣病にならないことが一番です」と堤院長は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/05/04 10:00)
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