内視鏡治療

 内視鏡治療の代表としては大腸ポリープ切除(ポリペクトミー)が有名です。ここでは、消化器の内視鏡治療について解説させていただきます。
 大腸内視鏡検査をおこなうときに小さいポリープであれば簡単に切除することができます。大腸では良性のポリープである腺腫からがんに移行する可能性があるため、腺腫があれば切除することにより将来のがんを予防することができます。
 内視鏡治療の基本は転移の可能性がきわめて少ないがんを内視鏡治療で取ることにあります。胃がんについては転移のない胃がんの種類が組織型や大きさなどで判別できます。これはいままで胃がんを手術した結果割り出されたデータにもとづいて決定した基準で、日本胃癌学会から発信された胃がん治療ガイドラインに記載されています。現在ではこのガイドラインにのっとり全国で胃がんの治療がおこなわれています。したがって、多くの小さい胃がんに対して内視鏡で根治治療がおこなわれています(最近ではサイズが大きくても、がんの深さが浅い場合は内視鏡治療の適応です)。その背景として、自治体による胃がん検診が役立っています。食道がん、大腸がんでも同様のことが実践されています。
 検診により早期に発見された食道がん、胃がん、大腸がんは内視鏡治療で根治治療が可能で、従来胃切除術、食道亜全摘術、大腸切除術などが施行されてきたがんもそれぞれの臓器が温存され、いままでと同様に食事をすることができます。早期発見によるがんの内視鏡治療は、生活の質を保つことにつながります。症状が出てからのがんの発見では、早期発見とはならずに内視鏡治療の適応となることはまれです。がんを内視鏡治療することで臓器を温存し、生活の質を保ちつつ、がん治療が完遂できることが理想です。
 日本では幸い内視鏡検査、治療が世界でトップレベルです。また自治体によるがん検診も充実しています。まずは自治体による内視鏡検診を利用して、早期発見に役立てることが重要です。

(執筆・監修:公益財団法人 がん研究会 有明病院 消化器内科部長 藤崎 順子)