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朝起き上がろうとしたり、寝返りを打ったりして頭の位置を動かしたときにぐるぐると目が回る。そんな症状のある人は、めまいの中でよく見られる「良性発作性頭位めまい症」かもしれない。治療や予防法について、東京医科大学八王子医療センター(東京都八王子市)耳鼻咽喉科の小川恭生教授に聞いた。
▽耳が原因のめまい
良性発作性頭位めまい症は、発作自体は30秒から1分程度で治まるが、頭を動かすことにより繰り返すのが特徴だ。中高年の女性で起こりやすい。
良性発作性頭位めまい症を治す「寝返り体操」
耳の奥にあるバランスを感知する感覚器「前庭」に異常が生じることで発症する。前庭には回転運動を感知する「三半規管」と、直線運動や傾きを感知する「耳石器」がある。耳石器には「耳石」という小さなカルシウムの粒が数百個付着しているが、これが何らかの理由で剥がれ落ち、三半規管に入り込む。すると、三半規管内を満たしているリンパ液の流れが乱れ、目の動きを調節する神経が刺激されて、めまいが起こる。リンパ液の流れが落ち着けば、症状はすぐに治まる。
耳石が剥がれる理由は不明だが、睡眠時に頭の位置が低いと下側の耳の三半規管に耳石が入りやすくなる。そのため「いつも同じ向きで頭を横にして眠る人や、横向きに寝た姿勢でテレビを見る習慣のある人は、発症しやすくなります。また、中高年の女性に好発するため、加齢に伴うホルモンバランスの変化や骨粗しょう症との関連性も指摘されています」と小川教授は説明する。
▽寝返り体操で再発予防
この病気と診断されると、医師が患者の頭をゆっくりと動かして、三半規管にたまっている耳石を元の耳石器に移動させる「頭位治療」が行われる。耳石の位置は特殊な機器で眼球の動きを観察すれば把握でき、三半規管から耳石を追い出すことができれば、めまいは大抵起こらなくなる。
頭位治療をしなくても、耳石の塊が崩れて細かくなるか、リンパ液の乱れが生じなくなるか、自然に耳石器に戻るため、4週間ほどで自然に軽快することも多いという。また、自分で頭を動かす「寝返り体操」を行う方法もある。
ただし、耳石が再び三半規管に入り、再発することがしばしばある。小川教授は「再発予防には、睡眠時にいつも同じ向きで寝ないよう注意する、枕を高くしたり、上半身に傾斜をつけたりして頭を高くして寝るなどの工夫をするとよいでしょう。頭を動かすと耳石が1カ所にたまりにくくなるため、寝返り体操も有用です」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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