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働き盛りの中年男性に多く、視力の低下や物がゆがんで見えるなどの症状を生じる「中心性漿液(しょうえき)性脈絡網膜症」という病気がある。自然に治ることが多いが、再発を繰り返す人もいる。関西医科大学総合医療センター(大阪府守口市)眼科の西村哲哉診療部長に症状や治療について聞いた。
▽局所的に網膜が剥離
中心性漿液性脈絡網膜症は、視力に関係する網膜の黄斑という部分に水がたまる病気だ。網膜の外側で眼球を覆っている脈絡膜は、網膜に酸素やブドウ糖を与え、網膜の機能を支えている。二つの膜の間には網膜色素上皮という細胞の層があり、脈絡膜から酸素やブドウ糖以外のものが網膜に入り込まないように網膜を保護している。
働き盛りの男性に多く、再発を繰り返すことも
ところが、何らかの原因で保護機能が損なわれると、脈絡膜から血液中の水分が漏れ出して網膜との間にたまり、局所的な網膜剥離が生じる。「網膜の中でも視力に極めて重要な黄斑部の真ん中に中心窩(か)と呼ばれる部分があります。網膜剥離により酸素などの供給が滞ると、黄斑部の機能が低下して中心窩が影響を受け、物が見えにくくなるのです」と西村診療部長は説明する。
▽レーザー光で治療
主な症状は、軽い視力低下、見ようとする物が見えにくい、視野の中心部が暗く見える、真っすぐのものがゆがんで見えるなど。原因はまだ分かっていないが、30~40代の男性に多いことから、ストレスが関係しているのではないかと考えられている。西村診療部長は「『寝不足が続いている』『日々の仕事がハード』と訴える患者が目立ちます」と話す。
この病気が疑われる場合は、眼底検査と網膜の光干渉断層検査(OCT)を行う。網膜剥離が観察されたら、造影剤を用いた蛍光眼底造影検査で、水分が漏れ出している箇所を確認する。
自然に治ることが多いが、再発を繰り返す場合は視力が回復しないなどの後遺症が残ることもあるため、積極的な治療が勧められる。治療では、造影剤で確認した水分の漏出部分にレーザー光を照射するレーザー光凝固を行う。凝固した細胞の修復活動が活発化して漏出が止まる。たまっていた水分は1~2カ月で自然に脈絡膜に吸収される。
「漏出部分が中心窩に近い場合、視力への影響を考慮してレーザー光凝固は行わず、末梢(まっしょう)循環改善薬やビタミン薬などの内服薬を処方して経過を観察します。症状が改善しない場合は、保険適用外ですが光線力学療法や抗VEGF抗体硝子(しょうし)体注射など、特殊な治療を考慮する場合もあります」と西村診療部長。
中心性漿液性脈絡網膜症は、将来、加齢黄斑変性になりやすいとも言われている。「50歳を過ぎて再発した場合は早期の受診をお勧めします」と西村診療部長は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/07/04 16:00)
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