治療・予防 2024/11/22 05:00
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自分の意思とは無関係に、まばたきやせき払いなど同じ動作を何度も繰り返す「チック症」。子どもに多い脳の神経系疾患で、多くは成長とともに症状が消える。長年、チック症を含む小児の神経疾患に取り組んできた野村芳子小児神経学クリニック(東京都文京区)の野村芳子院長に、病気の特徴や日常生活における注意点を聞いた。
▽就学期に多発
チックは自分の意思とは関係なく起こる不随意運動の一種で、素早い動作が繰り返し起こる病気だ。まばたきや首をすくめるなど動きに関わるものを「運動チック」、せき払いや「あ、あ」といった発声、鼻鳴らし、同じ言葉を繰り返すものを「音声チック」という。これら複数の症状が重なる場合もある。「チック症」はチックを主な症状とし、発達過程に起こる病気だ。
発症年齢は5~6歳が最も多く、男子が女子の4~5倍多い。症状が1年未満で消えるものを「一過性チック症」、発症から1年以上経過するものを「慢性チック症」または「持続性チック症」という。症状が発症から1年以上経過し、音声チックを伴った「慢性多発性チック症」はトゥレット症候群ともいわれる。
チックは、症状の出現と消失を繰り返しながら、10代後半になって消失することが多い。だが、すべての人の症状が消失するわけではないという。
以前は、親の対応や学校生活のストレスが原因とされていた。しかし、野村院長は「脳内には、運動機能に関係し、小児期には大脳の発達に関連すると考えられる神経伝達物質であるドーパミン神経系があります。この神経系の発達の問題が原因と考えられます」と解説する。
▽生活リズムや運動が改善促す
対処法の基本は、睡眠と覚醒(目覚め)の正しいリズムを整え、脳の発達を促すこと。野村院長は「乳幼児期から早寝、早起きの生活リズムを維持することは脳にとって大切であり、チック症の改善に欠かせません。大人の生活時間に子どもを巻き込まないようにすることが必要です」と指摘する。
また、日中よく体を動かし、歩くなど手足を交互に使う運動が、神経の安定した成長に不可欠だという。それでも改善しない場合は、薬物療法が検討される。
野村院長は「チック症への対応としてまず重要なのは、生活環境を整えること。発達過程で起こる病気ですので、年齢の変化に応じた治療を行うことも大切です。日常生活に支障が出るようでしたら、かかりつけ医や専門の小児神経科医に相談してください」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/08/19 07:00)
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