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私たち医師は、友人からメールや電話で健康相談を受けることが頻繁にあります。
「昨日からおなかが痛くて下痢が続いているが、どうすればいいか」「息子が頭を打ったが、病院に行かなくても大丈夫か」など、相談の内容は枚挙にいとまがありません。もちろん、周囲の人たちから医療の専門家として頼りにされるのはありがたく、うれしいことです。しかし、残念ながらこうした質問に即答するのは難しいのが現実です。
友人知人からの相談でも、限られた情報のみで安易な医学的判断はできない
◇予想と異なる状況
私たちは普段、外来で患者さんに会う前に問診票である程度の情報を得ます。そして、実際に患者さんを診察すると、予想と大きく異なる病状に気づく、という経験がしばしばあります。相手に直接会って診察することなく、メールや電話でもらった情報のみを頼りに何らかの判断を下すことは、外来で問診票だけを見て患者さんの治療方針を決めてしまうことに似ています。
問診票に書かれた症状やこれまでの経過を見て、内服薬を処方して外来で様子を見ることができそうだと思った方に実際に会うと、入院が必要だと即断できるくらい状態が悪い、ということもあります。
当然ながら、患者さんは医療の専門知識が豊富ではありません。自分の病状や経過を医師に正確に伝えたり、病状の軽重を判断したりするのは難しいのです。
◇判断が180度変わる可能性も
また、患者さん自身は、「自分で自覚できる症状」しか伝えることができません。私たちが診察して客観的に得られる情報を踏まえると、判断が180度変わる可能性すらあります。
友人からの健康相談に乗るのは、相手の主観的な情報のみを頼りに医学的判断を下すことを意味します。万が一、自分の判断が間違っていたら、友人に健康被害を与えかねません。限られた情報しかない中で、医師としてその責任を負うのは、なかなか荷が重いものです。
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