教えて!けいゆう先生

友人からメールで医療相談
医師として悩む理由

 ◇受診機会を奪う危険性

 電話やメールで受ける相談の中で特に多いのが、「病院に行かなくても大丈夫か」という類のものです。相手としては、日々の忙しい生活の中で病院に足を運ぶのは可能なら避けたい、と思っています。その一方で、「もし手遅れになったら」という不安もあります。

 そこで、知り合いの医師から「行かなくても大丈夫」という言葉をもらいたい。自信を持って、安心して「病院に行かずに様子を見る」という選択をしたい。そういう気持ちがあるのだと思います。

 一方、私たち医師にとって最も難しいのは、他でもない「病院に行かなくても大丈夫」と答えることです。この答えは、友人の受診機会を奪う、ということを意味するからです。

 ◇結果的には無責任

 万が一、その判断が誤っていたとしたらどうでしょうか。その時に受診していたら救えたかもしれない友人を、健康被害にされすかもしれない。早期に介入すればスムーズに治癒したかもしれない病気の治療を、大幅に遅らせる原因を作ってしまうかもしれない。そう思うと、「受診しなくてもいい」という判断を容易に告げることはできなくなります。

 従って私たちがこういう相談をもらった時は、ある程度は助言をするものの、「実際に診察しないと分からない情報は多いから、明確な医学的判断はできない」「早めに近くの医療機関を受診することをお勧めする」と伝えざるをえない、ということになります。

 友人はがっかりするかもしれません。せっかく知り合いに医師がいるのに相談に乗ってもらえなかった、と反感を抱くかも知れません。

 しかし、安易に断定的な結論を伝える方が、結果的にはよほど無責任である、ということは分かっていただきたい、と思っています。(医師・山本健人)

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