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難聴や耳鳴りを伴ってめまいを繰り返す「メニエール病」。めまいの発作を繰り返すため、患者の不安感は強く、日常生活に支障を来す。原因と治療法について、帝京大学医学部付属溝口病院(川崎市)耳鼻咽喉科の室伏利久教授に聞いた。
▽リンパ液が増え過ぎて発症
めまいは、脳の病気が原因のものもあるが、多くは耳の病気によって起こる。耳の奥にある内耳には、体のバランスをつかさどる三半規管と、音を感じ取る蝸牛(かぎゅう)という器官があり、これらは膜で区切られている。
そして、それぞれ内リンパと外リンパという2種類の液体で満たされているが、メニエール病は内リンパ液が過剰にたまり、水膨れ(内リンパ水腫)になることで発症すると考えられている。
内リンパ液が増え過ぎると、蝸牛の圧が上がり難聴が起こる。さらに、神経を刺激してめまいや耳鳴りが生じる。内リンパ液がたまる原因について、室伏教授は「はっきりと分かっていませんが、ストレスや疲労がきっかけとなる例が多い」と話す。
▽増える治療の選択肢
主な症状は、難聴や耳鳴り、吐き気や嘔吐(おうと)を伴うめまい、聴力低下、耳の詰まり感など。めまいは20分間から数時間持続するのが特徴だ。めまいの発作を繰り返すうちに難聴が進行する例もあるため、適切な治療を受けることが大切だという。
治療法について、室伏教授は「睡眠を十分取って疲れをためない、適度な運動をする、塩分を控えるなどの生活習慣の改善が第一です」と説明する。そして、めまいの発作と難聴の進行を抑えるためには、利尿薬やステロイド薬による薬物治療が行われるという。
これらの治療で良くならない患者に対しては、チューブの先端を耳に挿入して圧力を加える「中耳加圧療法」や、鼓膜に穴を開けてゲンタマイシンという抗菌薬やステロイドを内耳に注入し、めまい発作を抑える「鼓室内注入療法」などがあり、難治例に対する治療選択肢も増えている。
発作の頻度は、週に数回から年に数回までと個人差が大きい。しばらく発作がなくても再発する例もあり、完治したかどうかの判断が難しい病気だという。室伏教授は「たとえ発作が起きても、薬で吐き気やめまいを抑え、安静を保つようにすれば、数時間のうちに治まります。症状をコントロールして上手に付き合っていくことが大事です」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)
(2019/12/15 08:00)
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