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先天性の難病であるミトコンドリア病の一つ「ミトコンドリア心筋症」という心臓の病気は深刻な病状をたどることが多く、特に小児期に発症した場合は病状の見通し(予後)が非常に悪いことが分かった。千葉県こども病院(千葉市)代謝科の村山圭部長(遺伝診療センター長兼任)に聞いた。
心臓の動きが悪くなるミトコンドリア心筋症
▽患者の20%が発症
ミトコンドリアは全身の細胞の中に多数ある小さな器官で、細胞の活動に必要なエネルギーを作る役割を果たしている。その働きをコントロールする遺伝子の異常で発症するのが、約5千人に1人の割合で起こるとされるミトコンドリア病だ。親からの遺伝の場合が多いという。
村山部長によると、この病気は全身どこでも起こり得るが、特に大量のエネルギーを必要とする脳、筋肉、心臓などで発症することが多い。心臓の筋肉(心筋)で生じた場合をミトコンドリア心筋症と呼び、小児のミトコンドリア病患者の約20%で認められるという。
▽4割以下の3年生存率
ミトコンドリア心筋症を起こすと心臓の動きが悪くなり、元気がない、疲れる、息苦しいなどの症状が表れる。中には重い不整脈を繰り返し、突然亡くなる場合もある。村山部長らは最近、順天堂大、埼玉医科大、北海道大と共同で、小児期に発症したミトコンドリア心筋症患者の長期予後を調べた。
原因遺伝子が判明した18歳未満のミトコンドリア病患者223人のうち、ミトコンドリア心筋症が認められた46人を追跡調査したところ、観察開始から9カ月時点で約4割の人が亡くなり、3年生存率は38%だった。ミトコンドリア心筋症がない患者に比べ、予後が明らかに悪かった。
村山部長は「原因不明とされてきた心筋症の患者さんを詳しく調べたら、ミトコンドリア心筋症だったと分かることも少なくありません。ミトコンドリア心筋症はしばしば神経や筋肉の症状を伴います。何か変だと感じたら速やかに診察を受けてください」とアドバイスする。現在、根本的な治療法はないが、早期発見できれば症状の進行を遅らせることができるという。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/03/16 05:00)
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