息苦しい 家庭の医学

 息が苦しいことを呼吸困難といいます。呼吸困難は、呼吸をする際に努力を必要としたり、最大限に呼吸をしても充足感がなく、不快感が残ったり満足感の得られない症状をいいます。これらの症状は自分の感覚により強くも軽くも感じるので、病気の重症度とは必ずしも一致しません。呼吸困難は、呼吸器の病気だけではなく心臓病、神経や筋肉の病気、糖尿病などの代謝に関係した病気、精神的病気でも起こります。
 急激に呼吸困難のみられる呼吸器の病気では、その症状の出かたによってどのような病気かを推測することができます。
 1.発作性に呼吸困難が出現しゼーゼーする呼吸音が聞かれる場合には、ぜんそく、うっ血性心不全、異物が誤って気管支へ入った、アレルギーかぜなどで喉頭(のど)がはれたりけいれんを起こして空気が通りにくくなる病気を考えます。
 2.症状が急速に悪化していく場合には、急性呼吸促迫症候群、重症肺炎、急性間質性肺炎、急性心不全を疑います。
 3.呼吸困難の出現した時刻がわかるほど急に症状が出現した場合には、気胸、肺血栓・塞栓症など、誤って入ってしまった異物が気管支につまる誤嚥(ごえん)、刺激性のガス吸入による気管支や肺の障害、心筋梗塞などが考えられます。
 4.慢性的に呼吸困難の症状がみられる病気には、COPD(肺気腫、慢性気管支炎)、慢性型の間質性肺炎じん肺、結核後遺症、うっ血性心不全、神経や筋肉の病気などがあります。

(執筆・監修:順天堂大学医学部附属順天堂医院 院長/順天堂大学大学院医学研究科 教授〔呼吸器内科学〕 髙橋 和久

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