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毎年1万人以上が罹患(りかん)し、約3000人が死亡する子宮頸(けい)がん。4月からは、子宮頸がんの「ヒトパピローマウイルス(HPV)」ワクチンの無料接種の積極的な呼び掛けが再開される。自治医科大付属さいたま医療センター(さいたま市)産婦人科の今野良教授に効果などについて聞いた。
▽接種を逃した人にも
子宮頸がんの発症は、ヒトパピローマウイルスが関係しており、皮膚や粘膜への感染が長期間続くと前がん状態からがんへ進行する。「HPVワクチンの接種により前がん状態は起こらず、子宮頸がんに進行することもありません。予防の確率は80~90%と高いです」と今野教授。HPVワクチンは、短期間で抗体価が落ちず、効果が一生続くことも期待できる。
HPVワクチンは2013年4月、小学6年生から高校1年生までの女性を対象に定期接種に追加された。しかし、体の痛みや歩行困難などを訴える女性が相次ぎ、2カ月後に接種の勧奨を一時中止した。
21年10月、厚生労働省は最新データに基づき、「HPVワクチンと接種後の症状に因果関係はない」との見解を出した。今年4月から個別勧奨を再開し、約8年間で対象年齢を過ぎた約300万人(1997~2005年度生まれ)にワクチンの特例「キャッチアップ接種」を行う。
今野教授は「20代の子宮頸がんの9割を占める『HPV16型・18型』に感染している人は20~25歳で10%ですので、残り90%にワクチンは有効です」と述べる。
▽自己採取検体での検診も
子宮頸がん予防では、前がん状態を発見するための検診も重要だ。日本では、20歳以上の女性に2年に1度、子宮頸部の「細胞診」が行われてきた。
現在、国際的にはまず子宮頸部のHPV検査を行い、陽性(異常)の場合、細胞診などで診断する「プライマリHPV(単独)検診」が主流になりつつある。細胞診より精度が高く、検診の間隔も5年に1度で済む。自分で取った検体でHPV検査を行う「HPV自己採取」についても、医師が採取した検体と感度は同等という。
今野教授は「日本は検診受診率が低く、子宮頸がんの罹患(りかん)・死亡率が海外に比べて高い。さらに接種中止による増加も見込まれます。HPVワクチンと検診で予防に努めてほしい」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/07/18 05:00)
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