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若い時より疲れやすくなったり、夜中に何回もトイレに行ったり、眠れなかったりする。40歳を過ぎた男性がこんな症状に悩むことは少なくない。これらは「男性の更年期」に伴う障害の可能性がある。しかし、更年期であることを認めたがらずに我慢する人も多く、大きなストレスを招きやすい。専門医がいる医療機関を訪ね、ライフスタイルの見直しについての助言も含めた治療を受けることが大きな救いになるだろう。
◇男性ホルモン低下が原因
女性の更年期は、閉経前後から女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が低下し、心身に不調を来す時期を指す。一方、男性の更年期は自分を取り巻く環境において自分らしさを発揮できない場合に症状が表れ、男性ホルモン「テストステロン」の低下が主な原因とされる。
順天堂大学医学部の堀江重郎・主任教授(泌尿器科)は「更年期障害が起きる時期は個人差が大きい上に、更年期障害があっても男性の場合は『年のせい』『ただの疲れ』と我慢しがちだ」と指摘するとともに、「更年期障害は、男性ホルモンが低下し始める40代以降ではどの年代でもなる可能性がある」と強調する。
更年期症状をめぐる男性の感じ方
◇ネガティブなイメージ
製薬会社ツムラが20~60代の男性600人を対象に実施したインターネット調査によると、71.0%が更年期を「ネガティブな時期」と捉えていた。このうち更年期を自覚する40~60代の男性100人に尋ねたところ、「周りに言いにくい」(63.0%)、「更年期症状があっても認めたくない」(58.0%)などと回答した。
堀江教授は更年期症状を認めたくないことについて「男性は自分が更年期であることを認めてしまうと、加齢を受け入れて『現役』から遠ざかるような気がしてしまうからだ」と指摘する。その上で「ネガティブなイメージがあると、症状を誰かに相談することが難しくなる。男性は精神的な苦痛や肉体的な疲労を他人には訴えず、また自分でも認めないという傾向があり、その結果として対処法が分からないという悪循環に陥りやすい」と話す。
◇対処法が分からない
調査で、20~60代の男女各600人に更年期症状への対処法についても聞いた。その結果、「わからない」が男性84.3%、女性71.3%に上った。
対処法がわからない割合は男性の法が多い
更年期の男性は「若い時のようなエネルギーがなくなった」「周囲から十分に評価されていない」「仕事にやりがいが感じられない」などのネガティブな感情を抱きがちだ。しかし、堀江教授は「そういうネガティブな感情に捕らわれるのではなく、更年期を『人生のハーフタイム』と受け止め、仕事や家族、プライベートについて考え、生きがいを見直し、体調を整えることを優先しよう」とアドバイスする。
堀江教授は「男性の更年期は症状を我慢しても良くはならない」として、心身の不調などの症状が表れた場合は泌尿器科を受診するよう勧める。
「泌尿器科の『泌』は分泌、すなわちホルモンのこと。泌尿器科は男性の『守護神』だ。日本メンズヘルス医学会のホームページ(https://mens-health.jp)で全国の専門医を紹介している。気軽に相談してほしい」
(2023/03/28 05:00)
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