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認知症の人と家族らが飲食店などに集う「認知症カフェ」。2014年には全国で約300ほどだったが、19年には約8000カ所に増えている。認知症の本人・家族と医療従事者などの専門職が対等の立場で集うことを目的にした認知症カフェを主宰する、東京慈恵会医科大学精神医学講座(東京都港区)の繁田雅弘主任教授に話を聞いた。
認知症カフェ
◇同じ目線で「雑談」する
繁田医師らの活動の柱は〔1〕認知症の人とその家族のためのカフェ〔2〕一般の人や専門職が認知症について知るためのカフェ、そして〔3〕インターネット・オンラインカフェ―の三つ。「いずれもテーマを決めずに、成り行きに任せて好きなことを話してもらいます。親戚としばらくぶりに会って雑談するといった感じです」
認知症カフェの中には、支援する側とされる側が明確に分かれ、患者が「相談する」形式を取ったり、レクリエーションを行ったりするところもあるが、繁田医師が運営するカフェでは、双方が上下関係ではない立場で話をするのが鉄則だ。
「認知症の当事者は、『困っている人』という扱いをされることが多く、自信をなくしてしまいます。しかし、銀行員だった人は金融の話ができるし、農家の人は野菜栽培の話ができる。病気でも、誰かの役に立つことができる、そう感じられる体験をしてほしい」
一方、オンラインのカフェでは、患者を招いて話をしてもらい、参加者が質問する形式で行われる。主に専門職の人に繁田医師が話をする場もある。
◇認知症を「自分事」として
社会的な課題としては「認知症という病気が広く知られ、医学的なケアはされています。が、当事者が何をしてもらいたいか、どういう人生を送りたいか、といった面でのケアが十分ではありません。それを探るのが次のステップになるでしょう」と指摘。
当事者の気持ちの理解を促進するにはどうすればいいのか。繁田医師は「私たちができることは、自分が認知症になったら、どうしてほしいかを考えておくこと。それを周りの人に伝えておくことです」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/06/08 05:00)
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