治療・予防

認知症と共生する社会へ
~宗教家が介護者のケアも(東京都健康長寿医療センター研究所 岡村毅研究副部長)~

 人口の高齢化に伴い、認知症患者が増え、2025年には国内65歳以上の高齢者の5人に1人、約700万人に上るとされる。心身の負担が重くなる介護者のケアに宗教家の役割が期待されている。認知症の研究を長年続けてきた東京都健康長寿医療センター研究所(東京都板橋区)自立促進と精神保健研究チームの岡村毅研究副部長に聞いた。

認知機能は年齢とともに低下していく

 ▽認知症でも幸せに

 「過去の人生60年の時代には、認知症になると生活の質が大きく低下し、治療が望まれました。しかし、人生100年時代となれば、どんなにしっかりしたお年寄りでも、検査を受けると認知機能の低下が見られるようになります」と岡村副部長は話す。

 「以前は、認知症と診断されたら絶望的な気持ちになる人が多かったのですが、避けられないなら、認知症と共に幸せに生きていこうと考えることが重要です」と目指すべき社会について指摘する。

 ▽臨床宗教師の活動

 認知症になっても、医療や介護などが関わる地域包括システムで患者は支えられる。一方で、患者介護で心身に負担を抱える家族や福祉に携わる人たちを支えるため、岡村副部長が期待を寄せているのが宗教家によるケアだ。

 「特定の宗教、宗派に限った話ではありませんが、日本には多くの寺院があり、僧侶もたくさんいます。宗教家の協力で、これまで手薄になりがちな心のケアという部分を充実させることができると考えます」

 特に看護師や介護ケアをする人の「燃え尽き」やうつは深刻だ。僧侶が中心となり、訪問看護ステーションと寺院が連携し、ケアする人を助けることもできる。「ある宗派では、介護に当たる人に安らいでもらう『お寺での介護者カフェ』を全国20カ所以上に設けています」(岡村副部長)

 また、さまざまな信仰を持つ宗教家が、患者やその家族の話を聞いてグリーフケアなどの心のサポートを行う「臨床宗教師」として活動している。その養成は現在、東北大など、多くの大学で進められている。

 いずれも布教や伝道を目的とした取り組みではない。「宗教家の参入は、認知症と共に生きる社会の実現に力を貸すことになるかもしれません」と岡村副部長は話す。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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