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出産後は、妊娠中に止まっていた月経(生理)が再開する。しかし、なかなか再開しない、育児をしながらの生理痛はつらいといった悩みを抱える女性も。日本赤十字社医療センター(東京都渋谷区)第2産婦人科の笠井靖代部長は「産後は育児に奮闘し、パートナーとの絆を育む大切な時間でもあります。月経に関する不調が続く場合は一人で悩まず、婦人科のクリニックに気軽に相談しましょう」と話す。
育児中のつらい月経痛
◇再開時期には個人差
卵巣から排出した卵子が受精し妊娠に至らないと、子宮の内膜がはがれて体外に排出され月経が起こる。産後の頻繁な授乳時期は、乳汁をつくるプロラクチンというホルモンが大量に分泌される。プロラクチンは排卵を抑制するため、授乳量が多い間は月経の再開が遅れる傾向があるという。
月経の再開時期には個人差があり、産後数カ月~1年くらいの幅がある。「母乳育児を続けていても、半年くらいして離乳食の開始に伴い授乳量が少しずつ減少しますので、さらに授乳を続けても産後1年くらいまでに月経が再開する場合が多いようです」
産後1年を過ぎても月経が再開しない場合や、再開しても妊娠前と比べて経血量が極端に少ない場合は、婦人科を受診した方がよいという。「妊娠前に月経が順調だった人の場合は、ホルモン剤を服用してもらい排卵を促す治療で月経が再開するケースが多いです。卵巣の機能が低下して排卵がうまくできていない場合などは、別の治療法を検討します」
◇再開後に筋腫は悪化
ところが、月経が再開し、排卵に関わるエストロゲンというホルモンの分泌量が回復すると、子宮内膜症や子宮筋腫が悪化する可能性がある。「子宮内膜症や子宮筋腫は、日常生活に支障が出るほど痛みが激しい月経困難症、不正出血、経血量の増加や貧血などの原因になります。これらの症状があれば、早めに婦人科を受診しましょう」
特に病気がなくても、排卵後、卵巣から分泌される黄体ホルモンの作用が原因で起こる心身の不調もある。
「月経痛は我慢せず、痛みが強くなる前に市販の鎮痛薬を服用してもよいです。すぐに次の妊娠を希望しない場合は、微量の黄体ホルモンを持続的に分泌させて着床を防ぎ、月経痛や経血量を軽減する子宮内避妊器具(ミレーナ)や、低用量ピル(授乳中は服用できない)で避妊する選択もあります」
月経が順調でも婦人科の健康チェックは大事だ。笠井部長は「定期的に子宮がん検診などを受け、月経や避妊の悩みを相談できる、ご自身の婦人科のかかりつけ医を持つことをお勧めします」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/11/25 05:00)
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