治療・予防 2024/11/22 05:00
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加齢などにより喉の筋力が衰えたり声帯が萎縮したりして、声がかれる、以前は出せた音域が出ないなどの症状が見られる加齢性声帯萎縮症。「声は使わないと出にくくなります。積極的に声を出して、内喉頭筋(ないこうとうきん=声帯や声帯を動かす喉の筋肉)を鍛えましょう」と山王メディカルセンター国際医療福祉大学東京ボイスセンター(東京都港区)の渡辺雄介センター長は話す。
発声機能拡張訓練(VFE)のプログラム
◇誤嚥にもつながる
声は、肺からの呼気が喉仏の下にある声帯を振動させて出る。声帯は粘膜に覆われた左右1対の筋肉のひだで、発声時や飲食時は閉じ、呼吸時は開いている。「加齢や声を使わないことで内喉頭筋が衰えたり、声帯が萎縮してうまく閉じなくなったりすると、声が出にくくなるだけでなく誤嚥(ごえん)につながります」
声の衰えは、鼻からたっぷり息を吸い「あー」と声を出し続ける方法で確認できる。成人では男性で30秒以上、女性で20秒以上出せれば安心だ。15秒続けられない場合は、発声器官に問題があるかもしれない。受診先は耳鼻咽喉科だが、「まずは簡易的な声帯の検査ができるファイバースコープを持ち、言語聴覚士が常勤している施設を受診すると、専門医に紹介してもらいやすいでしょう」。
◇網羅的に訓練
治療では、言語聴覚士による声のリハビリ(ボイスセラピー)を行い、効果が見込めなければ薬物療法や手術を行う。ボイスセラピーの中でも、内喉頭筋の筋力や、適切な呼吸と口腔(こうくう)内の声の共鳴などを網羅的にトレーニングできるとされるのが、発声機能拡張訓練(VFE)だ。
VFEは大きく分けて〔1〕「いー」「んー」など、自分が出しやすい音程で可能な限り長く声を出す〔2〕「のー」と地声から裏声になるまで音程を上げて伸ばす〔3〕「のー」と裏声から地声になるまで音程を下げて伸ばす〔4〕特定の音程でできるだけ声を長く出す―のプログラムで構成される。
「継続が大事です。言語聴覚士の指導を受け、自宅でもやってみてください。まずは1日2回、1回につき各プログラム2セットを目安に、水を飲むときや入浴時など、喉を保湿しながら行いましょう」。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会のウェブサイトでも、VFEの動画を公開している。
「話すことは、他者とのコミュニケーションを生み、人生を豊かにします。張りのある声で、人生を楽しんでください」と渡辺センター長は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/01/30 05:00)
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