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重い生理痛に悩む女性は多いが、それは子宮内膜が子宮以外の場所にできてさまざまな問題を引き起こす「子宮内膜症」が原因かもしれない。日本医科大学付属病院(東京都文京区)女性診療科・産科の明楽重夫教授は「女性の10人に1人が鎮痛薬が必要になるほど生理が重くなる月経困難症を抱えていますが、そのかなりの部分が子宮内膜症です」と指摘する。
▽卵巣がんの原因にも
子宮以外の場所の子宮内膜も月経期になると剥がれ落ちて出血するが、体外に出すことができないためたまっていく。卵巣で子宮内膜が増殖すると、剥がれ落ちた組織や血液で膨らみ「チョコレートのう胞」と呼ばれる状態になる。のう胞が大きくなると周囲の神経を巻き込みながら子宮や腸などと癒着し、徐々に硬くなっていって、尿を出にくくさせたり、排便時や性交時に激痛を起こしたりする。
明楽教授は「子宮内膜症は女性のQOL(生活の質)を著しく下げる病気です。不妊症の原因になるだけではなく、チョコレートのう胞を発症すると卵巣がんになりやすいともいわれています」と話す。
▽早期発見が大切
子宮内膜症は完治させることが難しく、閉経する50代までうまく付き合っていくしかないことも多い。子宮内膜症の薬物治療でまず使われるのが「GnRHアゴニスト」などのホルモン剤だ。これらは卵巣ホルモンの分泌を抑え、一時的に閉経状態にすることで、子宮内膜症の進行を止め、患部を小さくする効果がある。排卵を抑制する低用量ピルも有効だ。
チョコレートのう胞が直径4センチ以上の場合や、のう胞がなくても不妊の訴えがあれば病巣を切除するケースが多い。最近では体への負担が少ない腹腔(ふくくう)鏡手術も行われている。ただ、手術をしても病巣を完全に取り除くことは難しいという。
大切なのは、がん化しやすいチョコレートのう胞ができるまでに病院に相談することだ。明楽教授は「月経困難症の段階で診察を受ければ、子宮内膜症を悪化させずに済む可能性が高い。何か違和感があったらすぐ受診してほしい」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2018/10/19 06:00)
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