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◇かつては「死に至る感染症」
歴史的に見ると、15世紀に欧州諸国が南北アメリカ大陸に進出した直後に世界全域に拡散し、長い間「死に至るSTD」として恐れられていたのが梅毒だ。しかし、20世紀に治療薬のペニシリンが登場したことで重症化する危険が低くなったことから、注目されることは少なくなった。
梅毒は、「梅毒トレポネーマ」という細菌が引き起こす感染症で、主に患者の体液などに混じった菌が粘膜や皮膚の傷から侵入する。発病後数週間、細菌が侵入した感染部位にできものが出きて1カ月程度で消失する「1期」の後、3カ月後から半年にかけて手のひらや足の裏、背中などに赤い発疹が現れる「2期」に進行。これらの症状が消えても、全身で炎症が進行する「3期」が数年続き、感染後10年以降の「4期」には脳神経や心臓に障害が生じるなど致死的な状態に陥る恐れがある。
◇東京都、啓発に本腰
梅毒患者の急増を受け、東京都福祉保健局は都民や医療機関向けの啓発用パンフレットなどを配布している。
都は、南新宿検査・相談室で無料・匿名でのHIVと梅毒の同時検査を毎日実施している。また梅毒を含めたSTDに関する疾患啓発ホームページを18年度内に立ち上げる。さらに東京都医師会と連携し、地域の内科医や皮膚科など非専門医を対象にした梅毒についての研修会も10月から都内各所で開催する。
同課は「梅毒の患者が増加している、という認識はある程度高まったとしても、エイズやクラミジア、淋病などに比べると、患者はもちろん、専門外の医師の間でも梅毒に対する具体的な症状や治療の必要性についての知識はまだ十分ではない。まず、梅毒がどんなものか知ってもらわなければ、受診や診断、その後の治療につながらない」と話す。
(2018/10/21 16:00)
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