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海外では1990年代から女性アスリートの健康問題への取り組みが進められてきたが、日本で始まったのは3、4年前からだという。東京大学医学部付属病院(東京都文京区)女性アスリート外来の能瀬さやか医師は「10代女性の骨量低下を防ぐ取り組みが重要」と訴える。
▽骨折で競技断念も
女性アスリートは骨量に注意を
運動選手は一般の人よりも骨密度が5~15%高いとされる。しかし、能瀬医師は「日本の女性アスリートを調査したところ、10代で1年以上の無月経を経験している選手と、肥満度を示すBMI(体格指数)が低い選手は、20代以降の骨量減少と骨粗しょう症のリスクが高いことが分かりました」と指摘する。
低体重は陸上長距離選手に多いが、骨量減少や骨粗しょう症は疲労骨折の危険性を高める。疲労骨折を繰り返したり、治癒が遅れたりして、競技復帰を断念する選手もいるという。
「閉経後の骨粗しょう症と違い、若年層の骨密度を上昇させる薬剤はそれほどありません。10代は骨が作られる大事な時期なので、適切な体重と安定的な月経を維持することが大切です」
運動によるエネルギー消費量に対して、食事からのエネルギー摂取量が不足した「利用可能エネルギー不足」の状態が続くと、低体重や無月経につながる。女性アスリートには「月経がない方が楽」と考える人もいるものの、「国際オリンピック委員会は『スポーツでの相対的なエネルギー不足は免疫や代謝、心血管系、成長・発達に悪影響を及ぼし、競技のパフォーマンスも低下させる』という声明を出しています」と能瀬医師。
特に中高生の時期のエネルギー不足や無月経を防ぐことが何より重要だが、10代で産婦人科を受診することは恥ずかしさもあって敷居が高く、出場選手から外されることへの恐れもあって、誰にも言えず悩んでいる選手が少なくないという。
エネルギー不足で低体重や無月経になったら、エネルギーの観点から運動や食事の内容を見直すことが治療となる。能瀬医師は「15歳までに初経がない、3カ月以上無月経という場合には、産婦人科医を受診し原因を調べることが必要です。それが競技の成績向上にもつながり、競技人生を伸ばすことになるのです」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2018/12/12 06:00)
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