日本医師会(日医)は本日(6月9日)、今月6日に行われた社会保障制度に関する自由民主党、公明党、日本維新の会の実務者協議で合意に達したいわゆる「3党合意」に盛り込まれた病床再編の拡大および医療DXの加速化について、総論として賛同すると発表した。ただし、電子カルテ導入の義務化には賛同しかねるとしている。

医療ニーズを踏まえた支援を

 3党の実務者は6月6日、持続可能な社会保障制度のための改革実現に向け、病床再編の拡大と医療DXの加速化について合意。これを受けて日医は、十分な配慮を求めるとした上で賛意を示した。

 病床再編の拡大については全国で約11万床の病床を対象に削減を図るとされているが、日医は昨年度(2024年度)補正予算の病床数適正化支援事業で5万床を超える申請があったことを踏まえ前向きに評価。その上で、各地域における医療ニーズを踏まえ、病床数適正化支援事業の対象外となった4万数千床については優先的な支援の対象とするよう求めた

 また、「病床の削減ありきではなく、感染症パンデミックなどの有事対応も含め、地域で必要な入院医療がなくならないよう勘案すること」などを求めている。

電子カルテ導入のための財政支援を

 日医は医療DXの加速化についても基本的に賛同するとした上で、電子カルテ導入の義務化については賛同しかねるとした。

 その背景として、日医が今年4~5月に紙カルテを利用中の診療所に対して行った調査で、電子カルテの導入費用が高額であるなどの要因で導入できないとする回答が全体の5割強を占めたことを挙げた。一方で、国が開発中の標準型電子カルテを導入したいとの回答も3割強あったとして、希望する医療機関ができる限り導入しやすくなる財政支援も強く要望している。

(編集部・畑﨑 真)