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強いかゆみや湿疹が現れ、良くなったり(寛解)、悪くなったり(再燃)を繰り返すアトピー性皮膚炎。近年、大人の発症例が増えており、20歳以上の患者が全体の6割を占めるようになった。東京医科大学病院(東京都新宿区)皮膚科講師・医局長の伊藤友章医師は、「寛解と再燃を繰り返す病気ですが、適切に治療すればほとんどの場合、症状をコントロールできます」と話す。この病気の特徴や治療法などについて聞いた。
大人になってから再燃するケースが増えているアトピー性皮膚炎
▽社会生活に影響
アトピー性皮膚炎は、幼少期に発症し、思春期になる頃には自然に治癒することがほとんどだった。だが、最近では、大人になってから再燃するケースが増えている。「アトピー性皮膚炎になりやすい体質の人で、体調不良や季節の変わり目、花粉症など、何らかのきっかけで再燃する人が多い」と伊藤講師。
精神的ストレスが引き金になることもある。伊藤講師は「通常は顔や首の周り、肘、膝などに症状が出ます。ストレスが原因の場合は、顔の湿疹などがひどくなる傾向があり、社会生活に支障を来すことも少なくありません」と説明する。重症化すると、紅皮症やカポジ水痘様発疹症、網膜剥離などの合併症を発症することもあるため、早めの対処が必要となる。
▽重症例には新薬も
治療の基本は塗り薬だ。炎症を抑えるステロイド外用薬とタクロリムス軟こう(免疫抑制剤)を、症状の程度や部位によって使い分けていく。最近は、症状改善後に塗り薬の使用頻度を週1、2回程度に減らしながら使い続けるプロアクティブ療法が主流だ。「7~8割の患者さんで、症状が安定した状態を長く維持できるようになっています」と伊藤講師。
だが、いずれの薬でも効果が得られない重症例が1~2割は存在するという。重症患者には内服薬のシクロスポリンが治療に用いられてきたが、腎機能障害などの副作用の心配があった。そんな中、今年1月にデュピルマブという注射剤の新薬が承認された。臨床試験では重症患者の4割が改善したとの報告がある。伊藤医師は「デュピルマブは目立った副作用がなく、難治例に対して治療の道が開けるかもしれません」と期待感を示す。
日常のケアも重要だ。伊藤医師は「汗をかく夏は、小まめにシャワーなどで汗を洗い流すこと。冬は乾燥しやすいため、体の洗い過ぎに注意し、保湿を心掛けることが大切です」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/02/20 06:00)
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