2021/06/23 05:00
人生の最後まで自分の足で歩くために
(寺師浩人 日本フットケア・足病医学会理事長)
足には大きく分けて、骨格構造が強い足と、それが弱い足があります。ふだん、人は素足を他人と比べることはあまりしないので、気付かないかもしれませんが、足のクリニックでいろいろな人の足を診察していると、足の形は顔と同じくらいバラエティーに富んでいることが分かります。
ミケランジェロ作ダビデ像(写真は伊フィレンツェのアカデミア美術館)(EPA時事)
◇ギリシャ型、エジプト型に意味はない
正しい靴の選び方の特集などで、足の指の形をイラスト入りで分類しているのを目にしたことがありませんか。
親指より人差し指が長いのをギリシャ型、親指が一番長いのをエジプト型、全ての指がほぼ同じ長さならスクエア型などと分類されています。これは、パリのルーブル美術館で、ギリシア・ローマ時代の彫刻とエジプト彫刻を比べて、どんな指の形が多いのかを調べた結果だといわれています。
ダビデ像の左足(EPA時事)
つまり、外見だけで分類したものなので、足の骨格構造は見ていません。人間の足は彫刻のように静止しているわけではなく、実に複雑な動きをする構造物なので、見た目だけでは判断できないのです。
◇足には全身の4分の1の骨
足の構造は複雑で、足首より下の狭いスペースに全身の4分の1の骨が集中している、骨と関節の集合体です。
ロボット工学では実現できていない、いろいろな動きを可能にしているのも、たくさんのパーツが精密に組み合わさって、微妙な調節ができるような仕組みになっているためです。
足がもともと不安定な構造にできているのは、歩いたり、走ったり、ジャンプしたりする際に、足裏のアーチに緩やかなたわみを生じさせて、衝撃を吸収し、それを効率よく蹴り返しの力に変えて推進力を得るためだと考えられます。
つまり足は形を変える立体パズルのようなもので、その動きに応じて力の向きと大きさを自在にコントロールしているのです。
◇足の構造に問題があることも
足を構成する骨が「たわむ」とき、あるべき場所に収まって、立体構造が正常に保てていればよいのですが、それが一定ラインより崩れて、「歪み」になってしまうと、かかる力や軸の向きも変わってしまい、足のトラブルだけでなく、膝や股関節、腰、肩や首など、全身に影響が出てしまいます。
そして、そのときに最も歪んでいる場所から、痛みや変形といったトラブルが起こってくるのです(図表1)。
図表1
(2019/02/25 06:00)
2021/06/23 05:00
人生の最後まで自分の足で歩くために
(寺師浩人 日本フットケア・足病医学会理事長)
2021/06/09 05:00
子どもの足の健康に気を配ろう(足のクリニック表参道 理学療法士 菱沼遼さん)
2021/05/26 05:00
タコ、ウオノメも原因を究明して治療
専門の看護師によるフットケアも(足のクリニック表参道)