一流の流儀 「追い込みの女王」AYA クロスフィットトレーナー

(第4回)父とのキャッチボール
母の言葉「人の10倍頑張れ」

 インタビュー中にAYAさんから、「責任感」という言葉が何度も発せられた。責任感の強い性格は、子どもの頃に両親によって養われたのかもしれない。

 父は少年野球のコーチ。しつけは厳しく、悪いことをすれば、容赦なく頭にげんこつをもらった。だが子煩悩で、よく一緒に遊んでくれたという。絵を描くのが趣味で、美しい景色の場所にAYAさんを連れて行ってくれては、並んで写生をした。小学生の頃に描いた絵は褒められて、コンクールによく入選したそうだ。「最近は忙しくて描くこともないのですが、美しいものを見ると、絵を描いてみたいと思います。運動神経は年齢を重ねるにつれて、頭ではできるのに体がそのように動かないということは起きます。絵心は衰えないと聞くので、多分、上手に描ける自信はあります」とほほ笑む。

 しかし、絵に勝る楽しみは、休日に近所の小学校で父と遊ぶ時間だった。

 「物心が付いた頃から、『小学校に行こう』とお父さんを誘っては、校庭でキャッチボールをしました」とAYAさんは昔を懐かしむ。傍らでは、まだ小さかった弟がボールを転がして遊んでいた。「父は野球のコーチをしていたので、私にもきちんと教えたかったのかもしれません。こんなふうに父は一緒に遊びながら、体を動かすことの素晴らしさを教えてくれました」

 常に図画工作と体育の成績は抜群に良かった。小学5年生の時に素敵な体育の先生に憧れて、体育の先生になりたいと思っていた。6年生になると、体育の先生は将来の目標となり、それ以降は着実にその道に進んでいく。

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