鼓膜損傷・裂傷〔こまくそんしょう・れっしょう〕

 鼓膜は直径1cm弱の薄い膜で、外傷により穿孔(せんこう:穴)を生じやすいのが特徴です。もっとも多い原因は、耳かきで鼓膜を直接突くことです。耳への平手打ちや頭部の外傷によっても生じ、しばしば出血を伴います。鼓膜の損傷や裂傷は、小さな穿孔から鼓膜のほとんどが失われるものまでさまざまですが、その大半は自然に再生して治ります。治らない場合は穿孔を介して中耳が外耳と交通し、中耳炎を生じやすくなります。炎症が生じた場合には自然閉鎖しにくくなります。鼓膜の穿孔によって聞こえも悪化します。
 鼓膜の穿孔が残存する場合は、外来処置(通院による治療)、鼓膜再生療法、鼓膜形成術により閉鎖を目指します。炎症を伴う場合や、鼓膜のほかに耳小骨(じしょうこつ)にも問題がある場合は鼓室形成術がすすめられます。

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