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働く女性患者の「肌トラブル」をセルフケア
~がん治療と仕事の両立サポート、心も上向きに~

 がんは働きながら治療を進める時代と言われる中、患者の大半は仕事との両立が課題となっている。抗がん剤治療などによる副作用でつらかった症状について、がんを経験した働く女性に製薬会社が意識調査した結果、倦怠(けんたい)感や吐き気、脱毛に加え、肌トラブルが挙がった。約5人に1人が抱える肌の悩みの解決をサポートするセミナーを取材した。

セミナー参加者は、がん治療を体験した働く女性たち

セミナー参加者は、がん治療を体験した働く女性たち

 ◇働き盛りのがんは女性が多い

 20代前半から50代後半までは、男性よりも女性のがん罹患(りかん)率が高い。抗がん剤や放射線などの治療による副作用として現れる色素沈着や重い乾燥肌などの症状は、女性にとって身体的不快感だけでなく、日常生活におけるストレスにつながりやすい。セミナーを主催した第一三共ヘルスケアの薬剤師、上吉川奈央(かみよしかわ・なお)さんは「適切な肌ケアは、治療に伴う肌トラブルへの対処になり得る。気持ちの上でもポジティブな変化がある」と説く。

 一方で、「具体的な方法が分からない」という患者が多いのも事実だという。セミナーでは効果的なスキンケアのやり方、アイテムの選び方、マッサージ方法やカバーメークの仕方などを取り上げ、「毎日手軽に自宅で行えるケアで患者の生活の質を上げられればいい」(上吉川さん)。

講義を聴きながら自分の顔をマッサージ

講義を聴きながら自分の顔をマッサージ

 ◇治療中のスキンケア

 皮膚症状は、使う抗がん剤の種類や治療法によって異なるが、悪化を防ぐためにはスキンケアが大事だ。

 皮膚は外側から表皮・真皮・皮下組織の3層で構成されている。表皮の一番内側にあり、細胞を作り出している基底層が、がん治療でダメージを受けると新陳代謝が鈍くなり、皮膚の再生能力(ターンオーバー)は低下する。

 表皮の細胞と細胞間脂質にも影響は及ぶ。皮脂や汗の分泌が悪くなり、皮膚の潤いが低下するため、乾燥が進行する。乾燥肌が悪化すると、外部からの刺激や細菌に対するバリアー機能が低下し、肌トラブルも進行。かさかさして粉を吹いたり、うろこのようになってかゆみが生じたり、ひび割れがふけのようなくずになって剝がれ落ちたり、時には出血を引き起こすこともある。

 スキンケアのポイントは以下の三つ。

 ①保清~肌を清潔に保つため、入浴時には優しく洗う

 ②保湿~朝と夜は必ず保湿剤を塗り、バリアーを高める

 ③保護~日光の刺激を日焼け止めで防ぐ


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