治療・予防

心血管病に関連
~睡眠時の高血圧(静岡社会健康医学大学院大学 田原康玄研究科長)~

 高血圧が続くと、脳卒中や心臓病などの心血管合併症の恐れが高まる。特に睡眠時の高血圧との関連が高いことを、静岡社会健康医学大学院大学(静岡市)の田原康玄研究科長らが明らかにした。

家庭用血圧計(上腕式)

家庭用血圧計(上腕式)

 ◇1日で変動

 血圧は1日の中でも変動していて、正常なリズムなら夜の睡眠時は昼間よりも10~20%下がる。しかし、夜になっても下がらなかったり、むしろ高くなったりすることがある。睡眠時の平均血圧値が120/70mmHg(収縮期/拡張期)以上だと「夜間高血圧」とされる。背景には、排尿回数の増加や血圧の季節変動、睡眠時無呼吸、心臓や腎臓の病気の影響などがある。

 睡眠時の高血圧が心血管疾患のリスク因子であるとする研究はこれまでにも報告されている。ただし、「既に心血管合併症を起こしたことがあるか、その恐れが高い人が対象でした」と田原研究科長。

 ◇6千人のデータ分析

 田原研究科長らは、京都大学が滋賀県長浜市の住民の協力を得て、どのような体質や医学的特徴を持った人が病気になりやすいかを長期にわたって調べる「ながはま0次予防コホート事業」のデータを分析。睡眠時血圧と心血管疾患との関連を調査した。

 参加者は、タイマーが付いた家庭用血圧計を利用して平均3.6日間、毎日午前0時、午前2時、午前4時に上腕の血圧を自動測定し、その平均値を睡眠時血圧とした。

 平均7年3カ月の追跡期間中、対象者5814人(平均57.5歳)のうち117人に心血管疾患が発生。年齢、性別、体格指数(BMI)、喫煙、飲酒量、降圧薬の使用、睡眠呼吸障害などの要素を調整して解析すると、睡眠時の収縮期血圧が10mmHg上がるごとに心血管疾患の発生リスクが1.31倍になり、明らかな関連が認められた。

 家庭血圧計で測定した睡眠時高血圧が、疾患リスクのある人もない人も含めた一般集団における心血管疾患の発生率と関連することが分かった。「この関連を一般集団で示した研究は初めてです」と田原研究科長は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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