ガス壊疽〔がすえそ〕

 傷の感染のなかで、いまでも死亡することがある病気です。傷から入り、皮膚の下などからだのなかで、いろいろな種類のガスを産生する腐敗菌と呼ばれるものが原因です。おもに動物の便や尿が混ざっている土や泥のなかにいます。傷が大きく、深く、グチャグチャしているときに、起こる可能性が高いです。

[症状]
 傷がついてから、24時間ぐらいで症状が出ます。
 傷の痛みが徐々に強くなり、けがの程度のわりには全身がおかされ、なんとなく重症な感じがしてきます。元気がなくなり力が抜けたような感じになり、脈が速く弱くなり、呼吸も浅く速くなります。重症の感じのわりには体温は上がらず平熱のことがあります。
 傷を見ると、はれて青色がかって、茶色か青赤色の斑点があり、水疱(すいほう:水ぶくれ)が出てきます。その後、皮膚は黒色となり壊死(えし)となります。傷のまわりのはれているような皮膚を指で押すと、ピチピチとなって皮膚の下に気体が入っているような感じがします。また、気体が多いときには皮膚を指でたたくとポンポンと音がします。このように気体が発生することが特徴です。
 このガスがたまっていると、X線写真では皮下にまだらにポツポツと透けて見えます。

[治療]
 この病気になったとき、または疑われたときは入院となります。
 この病気が起こった場合、皮膚と皮膚の下の部分、時には筋のところまで、つまりガスのある部分まで、深く広い範囲を切開し、ガスが外に出るようにして病気がひろがるのを防ぎます。そして抗菌薬の点滴をおこないます。傷や気体の発生が大きいときは足を切断することもあります。重症では死亡することの多い、恐ろしい病気です。

[予防]
 組織がボロボロとなった傷、特に汚れた傷は、医師によってきれいにしてもらう必要が絶対にあります。場合によっては切断する必要がありますので、軽視してはいけません。また、抗菌薬の内服や注射が必要です。

(執筆・監修:八戸市立市民病院 事業管理者 今 明秀)
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