破傷風〔はしょうふう〕

 土のなかの破傷風菌が体内に入って起こる病気です。靴の底から古くぎを踏んだぐらいでも起こり、開放性の傷よりも傷口が見えないような刺し傷から細菌が侵入します。
 また、けがから1~2週間後に傷が治ったような、けがしたことを忘れてしまったような時期に症状が出ます。このように、破傷風と診断するのはむずかしく、また治療の開始が遅れることで死亡することがあります。

[症状]
 なんとはなしに、口が開きにくくなるという状態ではじめの症状が出ます。ものをかむ顔の筋(咬筋〈こうきん〉)がけいれんするからです。この時期から治療が始まると、比較的短期間で治ることが多いです。手足やからだのどこでもけがをし、また傷の大きさに関係なく、1~2週間して口が開きにくくなった場合は急いで医師を受診しなければなりません。けがをしてから、短い日数でこのような症状が出たら、多くの破傷風菌が体内に入ったと考えられ、重症です。
 見過ごされたり、適切な治療がおこなわれないときには、咬筋から顔、くび、胸、腹、手足とけいれんは全身に進んでいきます。熱は平熱のほうが多く、すこし上がることもありますが、高熱になることは少ないです。
 顔の筋肉がけいれんすると、笑ったような顔になりますが、本人にとってはけいれんしているので、非常に苦しく全身汗まみれになるほどです。
 くびや背中の筋肉までいくと、反りかえるようになります。このとき強い痛みがあります。このようなけいれんは、一定の間隔をおいて起こります。胸や横隔膜の筋がけいれんを起こした状態が続くと、呼吸ができなくなり、重症の人は適切な治療をおこなっても死亡することがあります。

[予防]
 古くぎを踏んだり、あやしい傷を受けたら病院を受診することが第一です。医師は万が一のことを考え、予防として破傷風トキソイドの注射をすることが多いです。傷がかなり破傷風菌に感染していると判断したときには、破傷風トキソイドと免疫グロブリンの両方を注射することがあります。免疫グロブリンの注射は破傷風トキソイドより即効性がありますが、血液製剤の一種ですので医師から十分に薬の説明を受けましょう。
 予防接種については、各自治体の担当課にたずねてください。
 破傷風を発病したら、大きな病院に入院します。けいれん発作が起こるのを防ぐために、刺激となる光や音を避けるような暗く静かな病室に寝て安静にします。菌が多くいる傷を大きく深く切りとることもあります。破傷風トキソイドや免疫グロブリンの注射とペニシリンの注射をおこないます。
 けいれんがおさまらず、呼吸の状態が悪化する場合は、ICU(集中治療室)で筋肉の動きを止める注射をし、呼吸筋の動きもとめ、人工呼吸器で呼吸をおこないます。このような治療をおこなうことで、最近では死亡することは少なくなってきました。
 重要なことは、けがをしたあと、口が開きにくくなったら、一刻も早く病院に行き治療をしてもらうことです。
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