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ネスレ ヘルスサイエンスが、『第39回日本臨床栄養代謝学会学術集会』にて、研究と取り組みの成果3演題を発表

ネスレ日本 ネスレ ヘルスサイエンス カンパニー
ネスレ日本株式会社 ネスレ ヘルスサイエンス カンパニー(本社:兵庫県神戸市、カンパニープレジデント:中島昭広)は、2024年2月15日(木)と16日(金)に横浜市で開催された『第39回日本臨床栄養代謝学会学術集会(JSPEN2024)※1』にて、研究および取り組みの成果を3つの演題で発表しました。ネスレ ヘルスサイエンスは、科学的な根拠に基づき、顧客の課題に応じたソリューション(アセスメントツール + 製品 + 根拠となる学術情報)を提案することで、栄養療法の道を切り開いてきました。今後も、研究活動や学術発表によって栄養療法の発展に寄与するとともに、科学的根拠に基づいた製品やサービス、情報提供を行っていきます。





※1 「JSPEN」日本臨床栄養代謝学会(2024年4月1日より日本栄養治療学会に名称変更)(英文名称 Japanese Society for Parenteral and Enteral Nutrition Therapy):静脈経腸経口栄養を中心とする栄養療法及びそれらを支える基礎的栄養学全般に関する会員相互及び内外の関連学術団体との研究連絡、知識の交換、提携の場となることを通して、代謝及び栄養学の進歩普及に貢献するための事業を行い、学術文化の発展と医学及び医療の向上に資することで国民の健康と福祉に寄与することを目的としています。日本臨床栄養代謝学会 (jspen.or.jp)

少量高カロリーと嚥下機能に配慮した物性を両立したゼリー製品の開発
嚥下機能の低下は、加齢や脳卒中後の後遺症などによって引き起こされ、誤嚥性肺炎や食事量の減少など、低栄養の原因となる可能性があります。現在、病院や介護施設、在宅でのケアにおいては、嚥下機能に配慮した嚥下調整食が広く使用されています。しかし、少量でありながら高エネルギーであり、かつ嚥下機能に配慮した物性を持つ経口栄養補助食品の製造は技術的に困難であり、製品の選択肢が限られている状況です。
そこで、ネスレ ヘルスサイエンスは、新たな経口栄養補助食品の開発と、物性評価を行いました。

少量高エネルギーかつ、嚥下調整食1jに相当する物性のカップタイプゼリーの開発
1回の食事摂取量が十分でない方でも十分なエネルギーが摂れるよう、少量高エネルギーの栄養組成として熱量 150kcal/66g(1カップ)を栄養成分目標としました。また、物性の目標は日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2021の嚥下調整食1j(均質で,付着性,凝集性,かたさ,離水に配慮したゼリー・プリン・ムース状のもの)を目標としました。結果、自社の原材料選定ノウハウや製造工程ノウハウ他を結集し、『少量高エネルギー』と『嚥下機能に配慮した物性』の目標を両立したカップタイプゼリーの開発に成功しました。

カップタイプゼリーの物性評価
特別用途食品「えん下困難者用食品」※2の規格基準および測定方法に基づき、ゼリーの硬さ、付着性(くっつきやすさ)、凝集性(まとまりやすさ)の評価を行いました。その結果、10℃、20℃、37℃、45℃、および冷凍解凍後の20℃の温度条件において、いずれもえん下困難者用食品の許可基準II(日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2021では嚥下調整食1jに相当※3)を満たしました。





第39回日本臨床栄養代謝学会学術集会 発表資料より改変
硬さ:値が小さいほどほどやわらかく
付着性(くっつきやすさ):値が小さいほどくっつきにくい
凝集性(まとまりやすさ):値が大きいほどまとまりやすい(ばらけにくい)

開発された『少量高エネルギー』かつ『嚥下機能に配慮した物性』を持つカップタイプのゼリーは、えん下困難者用食品(許可基準II)として、「本品は、誤嚥防止を目的としたえん下困難者に適した食品です」との表示が許可されています。これにより、医療・介護現場において、嚥下機能が低下した患者や要介護者に対する新たな栄養介入の選択肢となることが期待されます。
‐物性評価の概要‐
評価対象: 当社カップタイプゼリー
評価項目: 硬さ(一定速度で圧縮したときの抵抗)(N/m2)
付着性(くっつきやすさ)(J/m3)
凝集性(まとまりやすさ)
評価温度: 10℃、20℃、37℃、45℃、および冷凍解凍後の20℃※4
評価機関: 一般財団法人日本食品分析センター

※2 特別用途食品「えん下困難者用食品」:えん下困難者用食品は、えん下を容易にし、誤えんや窒息を防ぐことを目的とし、硬さなどを調整した食品で、その表示について消費者庁長官の許可を受けて販売される食品です。飲み込みに不安がある方や食事中のむせ(誤えん)が気になる方などに適しています。

※3 嚥下調整食1j:均質でなめらか、離水の少ないゼリー・プリン・ムース状の食品形態で、スプーンですくった時点で適切な食塊を形成します。※4 評価温度:特別用途食品「えん下困難者用食品」の硬さ、付着性、凝集性の評価温度は、冷たくして食する又は常温で食する食品は10±2℃及び20±2℃、温かくして食する食品は20±2℃及び45±2℃とされています。(「特別用途食品の表示許可等」についての全部改正について(令和元年消食表第296号)別紙2)

記録からアセスメントまで排便管理をトータルサポート!「排便日誌アプリ」の開発
慢性便秘は入院患者や介護施設の利用者の間でよく見られ、そのケアは看護や介護業務における重要な課題です。排便ケアにおいては、排便日誌が広く使用されており、「看護ケアのための便秘時の大腸便貯留アセスメントに関する診療ガイドライン」(監修:公益社団法人日本看護科学学会、編集:看護ケア開発・標準化委員会)でも、排便日誌を使用した便秘のアセスメントが推奨されています。
この度、ネスレ ヘルスサイエンスは、西村かおる先生(日本コンチネンス協会名誉会長)の監修のもと、「排便日誌アプリ」を開発しました。このアプリは、医療・介護従事者が患者や利用者の排便状況を記録し、管理するためのツールとなります。排便の頻度や形状、排便に関連する症状などを記録することで、便秘の状態を把握し、適切なケアや対策に活用することができます。
この排便日誌アプリは、看護や介護の現場での便秘ケアにおいて、より効率的なアセスメントをサポートすることで、ケアプランの立案に活用していただくことを目指しています。

排便日誌のデジタル化による利用しやすさと管理しやすさの向上
従来の排便日誌に関して、医療・介護従事者からは、排便に関する情報が電子カルテとベッドサイドで分かれているため管理が煩雑になる、紙の場合に情報の整理が難しい、記録をしてもどこに注目すべきかわからないなどの声が多く寄せられていました。
そこで、ネスレ ヘルスサイエンスは、これらの課題を解決するために、iPad向けの「排便日誌アプリ」を開発しました。
このアプリでは、排便関連情報(排便時間、便の性状など)、下剤の使用情報(種類、用法、用量、投与時間など)、処置の情報(内容、時間など)、食事情報(摂取エネルギー、水分量、食物繊維摂取量など)をデジタルで入力・管理することが可能です。これにより、情報の一元化と整理が容易になり、効率的なケアプランの立案への活用が可能となります。
また、アプリでは、入力情報に基づいて必要な箇所を「アラート」※5として赤く表示する機能も備えています。
さらに、便の性状に応じたアセスメントとチェックポイントをまとめたフローも掲載されており、アラート内容とアセスメントフローを参考にすることで、便の性状に応じた排便ケアの検討への活用が容易になると考えられます。発表では、二つの症例において「排便日誌アプリ」を使用した排便ケアの事例が報告されました。このアプリの活用により、医療・介護現場における排便ケアの向上と効率化が期待されます。





今後の展望として、臨床研究による「排便日誌アプリ」の有用性の検討が既に開始されております(研究責任者 西村かおる)。
※5 アラートは排便関連情報、食事情報、下剤情報、処置内容が事前に設定された基準に該当した場合にその旨を通知するもので、治療方針等の提示はありません。

GABA及びL-TheanineサプリメントとFitbitによる睡眠プログラムの開発
睡眠負債は健康を阻害する要因の一つであり、労働生産性や労働安全性の低下にもつながるとされており、企業や医療機関で重要な課題となっています。
そこで、ネスレ ヘルスサイエンスでは、スマートウォッチ(Fitbit)を使用して毎日の睡眠状況を把握し、睡眠教育とサプリメントによって睡眠課題の解決を目指すプログラムの開発と改良に取り組んでいます。 本試験では、サプリメント摂取の睡眠への影響、およびFitbitによる睡眠改善の検出を評価しました。

GABAとL-テアニンの同時摂取による睡眠の質向上
GABAとL-テアニンはいずれもヒトにおいて睡眠の質を向上することが報告されておりますが、同時に摂取したときの睡眠に対する影響は明らかではありませんでした。本研究では、睡眠に問題を抱える成人がGABAのサプリメントを1日700mg、L-テアニンのサプリメントを1日200mg就寝前に摂取したところ、睡眠の質の有意な改善が確認されました。

N=19、平均値±標準偏差、対応のあるt 検定。第39回日本臨床栄養代謝学会学術集会 発表資料より改変。値が小さいほど睡眠の質が良い                                                                                                   
GABAとL-テアニンの摂取による睡眠改善が、Fitbitによっても検出されました
Fitbit等のウェアラブルデバイスによる睡眠評価の技術が発展、実用化されており、保健・医療相談などへの活用が期待されています。本試験では、Fitbit Charge 5を用いた睡眠関連指標の評価も行いました。その結果、GABA(1日700mg)、L-テアニン(1日200mg)の就寝前摂取により、睡眠時の回復スコアや睡眠時心拍数、ストレス指標である皮膚電気活動反応の有意な改善が認められました。(回復スコア:4週時点、睡眠時心拍数:1週時点、皮膚電気活動反応:1週時点)。

値が小さいほどストレスが小さい
値が小さいほど睡眠時の心拍数が少ない
値が大きいほど睡眠時の回復が良い
N=17、平均値±標準偏差、対応のあるt 検定。第39回日本臨床栄養代謝学会学術集会 発表資料より改変。
‐試験概要‐
試験名:睡眠に関する問題を自覚する成人を対象とした、L-テアニン・GABAが睡眠に与える影響に関する前後比較試験
調査期間:2023年2月~4月
試験デザイン:単群 前後比較試験
試験対象者:睡眠課題を有する成人20名
試験食品:
γ-アミノ酪酸(GABA) 700mg/日(1日1カプセル、就寝約30分前に1粒を水と共に摂取する)
L-テアニン 200mg/日(1日1カプセル 、就寝約30分前に1粒を水と共に摂取する)
主要評価項目:ピッツバーグ睡眠調査票
副次評価項目:State-Trait Anxiety Inventory、Fitbit Charge 5による睡眠関連データ、有害事象

ネスレ ヘルスサイエンス
■ネスレ ヘルスサイエンスについてネスレ ヘルスサイエンスは、2011年食品飲料業界のリーディングカンパニーである「ネスレ」によって創設された、先進的なヘルスサイエンスカンパニーです。世界140カ国以上で、12,000人以上の社員が在籍し、消費者向け健康製品、医療介護施設向け栄養補助製品、科学的知見を取り入れたビタミンやサプリメントなど、幅広いブランドを展開しています。「高い付加価値」と「グローバルな研究開発力」を強みとし、「栄養の力」を基軸に、総合的に健康をサポートする提案をしています。■ネスレ ヘルスサイエンスのパーパスについてネスレ ヘルスサイエンスは、“Empowering healthier lives through nutrition(栄養を通じて、人々のより健康的な生活を支援すること)”をパーパスとしています。消費者、医療・介護現場が願う健康的な生活のため、高品質で科学的根拠に基づく栄養ソリューションを顧客に提供しています。
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