研修医こーたの出来たてクリニック

患者の安全とタメ口
研修医に成り立てですが

 医学部で学んだ学生が医師国家試験に合格すると2年間は将来専門とする科にかかわらず、各診療科を順番に回り、一般診療で必要な能力を磨くことになっています。この医師臨床研修制度に基づいて、私は4月から医療に従事している初期研修医です。

医療現場のコミュニケーションとは?

 ◇大学で一通り学んだが…

 大学で一通り学んだつもりではありましたが、実際の臨床で活躍できるレベルになるには、まだまだ数年かかりそうです。未熟で何も分かっていない新米医師ですが、「初期研修中そしてそれ以降も貫こう」と決めていることが二つあります。

 一つ目は、当たり前ではありますが、患者さんの安全を第1に考えることです。初期研修医の権限はかなり制約があり、薬の処方や病状説明なども、研修を終えた経験の多い指導医の承認のもとで行われます。しかし報告・連絡・相談の不足によって、研修医による医療事故は毎年のように発生しています。

 やれることをどんどん増やして早く一人前になりたいという気持ちはありますが、患者さんを救うスキルを得るために患者さんを危険にさらすことは、本末転倒としか言いようがありません。患者さんの安全があって初めて医師としての成長があるということを何年たっても意識していきたいです。

 もう一つは、どんな患者さんに対しても、敬語を使う医療者でありたいということです。患者さんと、まるで友達かのようにタメ口で話している医療者に対して、医療者となる前から私は違和感がありました。

 ◇医療現場のコミュニケーション

 「タメ口だと親近感がお互い湧いて信頼を得られるんだ」と言う医療者もいるのですが、それはタメ口以外の方法では得られない信頼なのでしょうか。

 仮に信頼を得られるとしても、タメ口での会話を周りで聞いている家族や他の患者さんの中には不快に感じられる方もいらっしゃると思います。常に心からの敬意を持って接することが良好な医療現場でのコミュニケーションにつながると、私は考えています。

 これら二つは、新米医師の私でも自信を持って正しいと言えることですが、それ以外は右も左も分かりません。先輩医療者のご指導、そして患者さんのご理解とご協力のもと、一つ一つできることを着実に増やしていき、日本の将来の医療を支えていきたいと考えております。(研修医・渡邉昂汰)

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