治療・予防

歩行や運動、半数は達成
~国の身体活動新基準(明治安田厚生事業団体力医学研究所 川上諒子研究員)~

 厚生労働省が昨年策定した健康づくりのための「推奨身体活動量」は、成人で1日60分以上(約8000歩以上の歩行)、高齢者で1日40分以上(約6000歩以上の歩行)だ。この基準を達成している人はほぼ半数と考えられることが、明治安田厚生事業団体力医学研究所(東京都八王子市)の川上諒子研究員らによる調査で分かった。

1日の推奨身体活動量の達成率

1日の推奨身体活動量の達成率

 ◇客観的に評価

 推奨身体活動量は、これまでの研究成果や日本人の身体活動状況などを考慮して設定されたが、実際に国民が1日にどれくらいの活動をしているのか、十分に把握できていなかった。

 そこで、川上研究員らは腰に装着する活動量計を使い、首都・中京・近畿圏で1日の身体活動量を調べ、厚労省基準の達成率を評価。身体活動データを1分ごとに記録することで、「労働、家事、移動など日常生活の中でどのくらい体を動かしているか客観的に評価できます」。

 2023年10~11月、三大都市圏の13都府県在住の20~80歳未満の男女650人に活動量計を1週間装着してもらい、生活習慣に関する質問票に回答してもらった。

 ◇高齢者の達成率60%超

 約3割に当たる196人から得たデータを分析した結果、立ち仕事、家事、ストレッチなどの低強度の活動時間(中央値)は1日5.5時間、階段昇降、子どもと遊ぶ、テニスなどの中高強度の活動時間は1日55.9分だった。1日の歩数は、成人(20~64歳)男性で7349.8歩、女性で6659.4歩、高齢者(65~79歳)は男性で5890.4歩、女性で4917.0歩と、いずれも厚労省の推奨歩数を下回った。

 推奨量を達成した人の割合は全体の49.5%。運動を行っている人の達成率は69.1%で、行っていない人(41.8%)より高かった。

 「運動を習慣付けてもらうことが大切です。まずはスマホアプリなどを使って、1日の歩数を知ることから始めるとよいでしょう」と川上研究員。同時に、「生活での身体活動を高めるための環境づくり(安全、快適な歩道の整備など)も求められます」と話す。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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