治療・予防 2024/11/22 05:00
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日中の耐えがたい眠気は、特発性過眠症という病気のせいかもしれない。仕事中に寝入ってしまうこともあるため、周囲からの冷たい視線に悩み、傷つきながら生活している患者も少なくない。運転中に突然襲ってくる眠気で交通事故が引き起こされるケースもあるという。新橋スリープ・メンタルクリニック(東京都港区)の佐藤幹院長に話を聞いた。
昼間の強い眠気は、特発性過眠症という病気の可能性も
▽寝だめは無効
日中の眠気の原因はさまざまだ。日中の眠気を訴え、同クリニックを受診する患者には、「まずは1カ月間、睡眠時間をしっかりと確保し、それを記録してもらいます」と佐藤院長。夜間の睡眠時間は40代までは7時間以上、50代以上でも6時間半は必要で、週末の「寝だめ」も日中の眠気解消には効果がない。それを下回る場合は、睡眠不足が眠気の原因であることが多いという。
夜間十分に規則的な睡眠を取っているのに、3カ月以上ほぼ毎日、日中に強い眠気に襲われる状態が続くと「過眠症」の疑いがある。その一つであるナルコレプシーとの違いについて、佐藤院長は「夢を見ているときの脳波であるREM睡眠に寝入りばなに移行しやすいのがナルコレプシーの特徴です。一方、特発性過眠症の典型例は、10時間以上続けて睡眠を取っても寝起きが悪いなどの特徴があります。今のところ、原因は分かっていません」と説明する。
特発性過眠症の患者は10代半ばから20代半ばに多く、30代に見られることもある。受験期や就業年齢に好発するため、社会生活に大きな支障が出ている人も少なくない。
▽睡眠確保と受診が大事
診断には、日中の眠気を客観的に測定する「反復睡眠潜時検査(MSLT)」を医療機関で行う必要がある。頭に電極を装着して、約20分間横になり脳波を測定。寝付くまでの時間やREM睡眠の出現について調べる。これを7~9時間に4~5回繰り返す。寝付くまでの平均時間が8分未満なら過眠症と診断され、寝入りばなのREM睡眠の出現が0~1回ならば特発性過眠症となる。2回以上であればナルコレプシーだ。一人悩んでいた眠気の原因が病気と分かり、安心する患者も多いという。
根本的な治療法はないが、十分な睡眠時間や短時間の仮眠に加えて、日中の眠気に対してモダフィニルを中心とした中枢神経を刺激する薬で対処する。一部の患者は睡眠時間の確保で自然に治っていくという報告もある。
佐藤院長は「夜間十分に寝ているのに昼間に眠くなる人は一度、日本睡眠学会の専門医がいるクリニックを訪ねてください。自分が思っているほど寝ていない人が大半ですが、病気であることが分かれば周囲の理解につながります。中には睡眠の量は足りていても、睡眠の質を悪化させる睡眠時無呼吸症候群やうつ病など、治療が必要な病気が隠れている場合もあります」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/06/07 16:00)
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