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薄毛対策の新常識!
~最先端のAGA治療法~ 【第5回】

 薄毛や抜け毛に悩む方にとって、AGA(男性型脱毛症)は大きな関心事ですよね。AGAは遺伝やホルモンバランスの影響で徐々に進行するため、放置すると髪の毛のボリュームがどんどん減ってしまいます。しかし、近年は研究が進み、より効果的な治療法が登場しています。今回のコラムでは、最新のAGA治療法について詳しく紹介し、薄毛対策の新常識をお伝えします。

 ◇AGAの仕組みと原因

 AGAは、主に「ジヒドロテストステロン(DHT)」という「悪玉脱毛ホルモン」の影響で起こります。DHTは、男性ホルモンの一つ「テストステロン」が、「5α―リダクターゼ」という酵素の働きによって変換された物質で、毛根にある「毛乳頭」という細胞の集まりに作用して毛周期(ヘアサイクル)を短縮します。その結果、髪の成長期間(成長期)が短くなり、太く長い毛が育たず、徐々に細く短い毛ばかりになっていくのです。

 特に、生え際のM字部分や頭頂部(つむじ周辺)から進行するのが特徴で、症状が進むと広範囲に薄毛が目立つようになります。早期の段階で適切な治療を始めることで進行を抑え、髪の再生を促すことができます。

 ◇定番の治療法~フィナステリドとデュタステリド~

 治療の基本は、DHTの生成を抑える内服薬です。現在、日本国内で主流となっているのが、「フィナステリド」と「デュタステリド」です。

 ・フィナステリド(プロペシア)

 フィナステリドは、5α―リダクターゼの中でも頭頂部と前頭部に分布する「2型」を阻害し、DHTの生成を抑えます。早い人で3~6カ月ほどで効果が現れ、1年程度の継続で髪のボリューム感が改善するケースも多く見られます。

 副作用として、性欲減退や勃起機能の低下、精液量の減少などが報告されていますが、一過性であることが多いとされています。また、肝機能への影響がまれに見られるため、定期的な検査が推奨されます。

 ・デュタステリド(ザガーロ)

 デュタステリドは、5α-リダクターゼの「1型」と「2型」の両方を抑えるため、フィナステリドよりも広範囲でDHTを抑制できます。特に前頭部のM字部分に効果が出やすく、より強力な治療を求める方にはデュタステリドの使用が適していると言えます。

 フィナステリドに比べ抑制範囲が広いため、性機能に関する副作用がやや強く出ることもあります。まれに乳房の違和感や腫れ、肝機能障害なども報告されているため、医師の指導の下で使用することが大切です。

 ◇発毛を促進するミノキシジル

 DHTの生成を抑えるだけではなく、発毛を促進する治療もAGA対策には欠かせません。その代表格が「ミノキシジル」です。ミノキシジルには外用薬と内服薬があります。

 外用薬は、日本では1~5%の濃度の物が市販されています。洗髪して髪を乾かした後、直接頭皮に塗布することで血管が拡張され、頭皮の血流が改善。毛根に栄養が届きやすくなり、発毛が促されるというわけです。

 最近注目されているのが、内服タイプのミノキシジル(通称:ミノタブ)です。血流改善だけでなく、毛根に存在する毛乳頭細胞や毛母細胞に直接働き掛けることで、外用薬よりも発毛が見込めるとされているからです。ただし、内服薬は日本では未承認薬であり、むくみや多毛症、血圧低下などの副作用が出やすいため、医師の指導の下で慎重に使用する必要があります。

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