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めまいや耳鳴り、突然の難聴を特徴とする外リンパ瘻(ろう)。聞き慣れない病名だが、近年ありふれた耳の病気と考えられるようになった。新須磨病院(神戸市)耳鼻咽喉科の牧野邦彦副院長は「メニエール病や突発性難聴などとの鑑別が重要です」と指摘する。
▽聴覚や平衡感覚に狂い
耳は、外耳、鼓膜より奥の中耳、さらに硬い骨に囲まれた内耳に分かれている。内耳は二重構造になっていて、外側を外リンパ液が覆い、内側を内リンパ液が満たしている。内耳には「卵円窓」と「正円窓」という二つの窓があり、普段は閉じているが、この窓に何らかの原因で穴が開き、外リンパ液が内耳から中耳側に流れ出てしまう状態を外リンパ瘻という。
外リンパ瘻の患者に勧める予防策4カ条
「外リンパ液はもともと脳脊髄液が内耳に流れてきているもので、内耳の窓に穴が開くと持続的に漏れるようになります。そのため、内耳本来の機能である聴覚や平衡感覚に影響が及び、突然の難聴やめまいが表れ、ふらつき、むかつきや嘔吐(おうと)、冷や汗なども生じるようになります」と牧野副院長は説明する。
穴が開く原因は、ありふれた動作がきっかけとなる。はなをかむ、くしゃみやせき、息むなど。また、笛を吹く、ジェットコースターに乗る、高山へのドライブ、飛行機の離着陸などで発症することも珍しくない。
▽手術は5人に1人
同病院では2004年以降、独自の検査方法で外リンパ瘻を診断している。検査は頭の位置が体に対して下がるようあおむけで行う。あおむけになると外リンパ液の流出が促進されるので、内耳の窓に穴が開いていれば、聴覚と平衡感覚に変化が生じる。この変化を観察し、外リンパ瘻を診断する。加えて、中耳と内耳のコンピューター断層撮影(CT)検査と磁気共鳴画像装置(MRI)検査により、外リンパ液の漏出を確認している。
問診や検査などから外リンパ瘻によるふらつきやめまい、難聴が認められたら、症状の進行を防ぐために生活上の注意点(予防策4カ条)を伝えるほか、手術を行うこともある。入院は1週間ほどで、卵円窓と正円窓に開いた穴をふさぐ。
02~17年に新須磨病院で外リンパ瘻の手術を受けた患者は437人。中には、突発性難聴やメニエール病、起立性調節障害、自律神経失調症、更年期障害、うつ病などと診断されていたケースもあるという。「外リンパ瘻でも難聴が認められない場合、病気の説明を受けて原因が分かると、症状が改善する患者さんも少なくありません。手術を必要とする方は5人に1人の割合です」と牧野副院長。
別の病気と診断されて、長く症状に悩まされるケースは少なくない。なかなか治らないめまいやふらつき、耳鳴りなどがある場合、外リンパ瘻が隠れているかもしれない。牧野副院長は「専門医を受診してみてください」と勧めている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/06/16 10:00)
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