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胸焼けや胸の痛みといった不快な症状が表れる「逆流性食道炎」。患者数は増加しており、食事の欧米化、ヘリコバクター・ピロリ菌感染者の減少、肥満やストレスなどが関連しているといわれる。日本医科大学付属病院(東京都文京区)消化器・肝臓内科の岩切勝彦教授に聞いた。
▽胃酸の逆流で粘膜がただれる
逆流性食道炎は、胃の中の酸が逆流することで、食道の粘膜がただれる病気だ。胸焼け、胃液がこみ上げてきて酸っぱく感じる「呑酸(どんさん)」などの自覚症状を伴うことが多い。
胃と食道の間には「下部食道括約筋(LES)」があり、通常は閉じており、胃酸が食道に逆流するのを防いでいる。ところが、食事を摂取して胃が膨らむと、胃にたまった空気をゲップとして口へ逃がすためにLESが一時的に緩み、同時に胃酸も食道に逆流する。
岩切教授によると、この状態を「一過性LES弛緩(しかん)」と呼ぶ。胃酸の分泌が多くなる食後に起こりやすい。逆流性食道炎の患者はLESの収縮力が弱いため、胃酸が逆流しやすくなるのだという。胃の粘膜には強い酸性の胃酸に対する特別な防御機能があるが、食道はこの防御機能が弱いため、逆流によって胃酸にさらされる状態が続くと、炎症を起こして粘膜がただれてしまう。
▽肥満の解消で症状改善
逆流性食道炎の確定診断は、内視鏡検査により行われる。逆流性食道炎と診断されると、胃酸の分泌を抑える薬による治療が基本となる。ただし、胃液の食道への逆流自体を抑えることはできないため、長期に薬を飲み続ける必要がある。
一過性LES弛緩は、食べ過ぎや早食い、脂肪分の多い食事によって引き起こされるため、生活習慣を改善することが重要だ。また、胃酸の逆流は食後2~3時間以内に起こりやすく、食べてすぐ寝ると容易に逆流が生じるだけでなく、胃酸が長く食道にとどまって炎症が悪化する原因となる。このため、「就寝前3時間は食事を控えましょう」と岩切教授。
肥満体型の人は腹部に付いた脂肪で胃が圧迫されて、胃酸の逆流が発生しやすいという。「食生活を見直して体重を減らすことで、一過性LES弛緩が起こりにくくなり、症状が改善する人も多いのです。減量を心掛けましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/09/02 08:34)
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