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自分の意思とは関係なく喉の筋肉がけいれんし、うまく発声できなくなる「痙攣(けいれん)性発声障害」。発声障害の一つであり、内転型、外転型、両方が混在する混合型に分けられるが、ほとんどが内転型だ。横浜市立大学付属病院耳鼻いんこう科の折舘伸彦診療科部長に診断や治療について聞いた。
正確な診断にたどり着くのに時間を要することも
▽認知度低く進まぬ理解
内転型痙攣性発声障害は、喉の筋肉が収縮して声帯が過剰に閉じてしまうことで、声が詰まる、途切れる、震えるといった症状が表れる病気だ。特定の言葉が言いづらい、接客や電話など特定の場面で症状が出やすいなどの特徴がある。20~40代の女性に多いとされ、正確な原因は分かっていない。
発症は10万人に3.5~7.0人と非常に少なく、認知度は低い。そのため、職場や学校では誤解されやすく、「真剣味が足りない」と注意を受けるなど、周囲の無理解に苦しむ患者は多いという。
診断は、問診のほか、音読時や発声時の声の状態や喉の異常を確認しながら行っていく。ただし、発声障害に詳しい医師は多くないのが現状で、この病気を正確に診断できる医療機関は限られる。折舘医師も「医療機関を受診しても『異常なし』『精神的なもの』と診断されてしまうことがあります」と危惧する。
▽注射や手術の選択肢も
内転型痙攣性発声障害が疑われる場合は、診断確定の意味も含め、まず言語聴覚士による発声訓練を行うことが多い。一定期間、訓練しても効果がなければ、声帯の筋肉の過剰な緊張を和らげるボツリヌス毒素製剤の局所注射や手術が選択される。ただし、ボツリヌス毒素製剤の効果は永続的ではないため、定期的な治療が必要となる。
手術の一つに、チタン製の医療機器を喉の軟骨に埋め込む方法がある。けいれんによって声帯が強く閉まり過ぎるのを防ぎ、発声を改善させる。2018年に保険適用となった治療法で、治療成績は良好だという。日本喉頭科学会では現在、この手術を実施している医療機関を学会のホームページに公開する準備を進めているという。
折舘医師は「一人で悩まずに、さまざまな情報ツールを上手に利用して、適切な治療を受けられる医療機関を探し、門戸をたたいてください。そうすればきっと最良の解決法が見つかります」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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