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ウイルスなどによる感染症を発症後に、体を動かせないほどの疲労感が長く続き、日常生活に支障を来す慢性疲労症候群(CFS)。単に疲労がたまった状態とは異なり、休養しても回復せず、職場や学校に行けなくなることもある。
▽仮病と誤解されることも
国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)神経研究所免疫研究部の山村隆部長によると、慢性疲労症候群は、免疫異常によって引き起こされる脳神経系の病気で、筋痛性脳脊髄炎(ME)とも呼ばれる。健康だった人が、ある日突然、激しい全身の倦怠(けんたい)感に襲われ、首などのリンパ節の腫れ、全身の筋肉痛、体に力が入らない、睡眠障害などの症状に見舞われる病気だ。
こうした症状が6カ月以上続くのが特徴。集中力が低下したり、音、光、化学物質に過敏になったりすることもある。
「疲労」以外の症状が強く表れるケースが多く、「慢性疲労症候群」という病名は誤解を生みやすいため、「ME」または「ME/CFS」と呼ぶ専門家が増えているという。
疲労感には波が見られる。症状が軽い患者で通勤や通学が可能なほど軽快するときもあるが、限度を超えると、翌日からは疲労感が強まって何もできなくなる。周囲からは症状の深刻さが理解されないため、「仮病ではないか」と誤解されやすい。山村部長は「精神疾患ではなく、仮病でもありません。免疫系に異常があることは確実です。周囲の人が誤解や偏見をなくし、サポートすることが大切です」と訴える。
▽10~40代の女性に多い
どんな人が慢性疲労症候群を発症しやすいのか。「10~40代の女性に多く見られます。積極的にスポーツに取り組んでいた元気な人が、発症することも少なくありません。また、本人や家族が免疫に異常が生じる甲状腺や血液の疾患を持っている例も多い」と山村部長。
感染症との関連もあるようだ。「約7割の人は細菌やウイルスによる感染症が引き金となり、発症しています。社会生活が送れないほどの疲労感が表れるのは、感染症を発症してから数週間~数カ月後で、何年も持続することが多いようです。症状の多くは、脳内の炎症や脳の血流低下が原因であることが、画像検査などにより明らかになってきています」と説明する。
現在、根本的な治療法はないが、薬の研究が進んでおり、山村部長は「諦めずに希望を持ってほしい」と話している。(メディカルトリビューン=時事)
(2019/11/03 03:00)
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