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ゲリラ豪雨や大型台風、干ばつ、猛暑など、世界的に気候変動に伴う異常気象が多くなり、体の不調を訴える人が増えている。気象病・天気病外来を開設する、せたがや内科・神経内科クリニック(東京都世田谷区)の久手堅司院長は、「気圧、気温、湿度の大きな変化による自律神経の乱れが主な原因です」と説明する。症状や対処法について聞いた。
▽姿勢や骨格のゆがみが影響
気象病は、天気の変化で生じる体の不調の総称で、正式な病名ではない。女性やデスクワークの人に多い傾向があり、猫背や反り腰といった骨格にゆがみのある人がかかりやすいという。
久手堅院長は「姿勢が悪いと体の軸がしっかり定まらず、気圧の変化を受けやすくなります。特に背骨のS字カーブが失われると、背骨の中を通る自律神経が影響され、気象の変化で症状が表れると考えられます」と語る。
代表的な症状はめまいや頭痛だが、吐き気、首や肩の凝り、全身倦怠(けんたい)感、低血圧や血圧の変化、関節痛、手足のしびれ、冷え症などさまざまだ。
人間は1平方メートルで換算すると10トンもの重さの気圧を受けており、体内からも同じ圧力で押し返すことで均衡を保っている。気圧が大きく変動すると、そのバランスが崩れ、自律神経の乱れを引き起こすのだという。
「気圧を感知しているのは、耳の奥にあって平衡感覚をつかさどる『内耳』です。気圧の変化をキャッチすると、脳の中枢にある自律神経に伝えますが、敏感な人ではめまいを起こしたり、自律神経を乱して不調を生み出したりします」と久手堅院長は説明する。
気温の変化も、寒暖差が大きかったり、湿度が上がって発汗しにくかったりすると、体温調節を行う自律神経に大きな負担をかけ、体の不調を生みやすいという。
▽内耳の血流を改善して予防
症状の改善には、抗めまい薬や酔い止めの薬による治療が有効だ。抗めまい薬は内耳の血流を改善する作用があり、酔い止めの薬は内耳から脳へ気圧の変化の伝達を抑制する作用がある。漢方薬を使う場合もあり、体内の水分の循環を良くする「五苓散(ごれいさん)」にも同様の効果が期待できるという。
久手堅院長は「普段から適度な運動をし、十分な睡眠を取り、自律神経を整えておくことが大切です。また、頭や腰、背中など体に負担がかからないよう姿勢を正し、首や耳のストレッチをして血流を良くしておくと、気象病の予防や改善につながります」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)
(2019/11/16 08:00)
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