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食べ物を飲み込んで胃に送り込む働き(摂食嚥下=えんげ=機能)が年齢とともに低下すると、誤嚥性肺炎のリスクが高くなる。誤嚥性肺炎は死に至ることもあるため、予防が重要だ。横浜市立大学大学院医学研究科看護学専攻の千葉由美教授は「誤嚥性肺炎の予防には、喉の筋肉を鍛える簡単な体操が有効。日常生活の中で、滑舌良くしっかり話すこと、よくかんで食べることも大切です」とアドバイスする。
摂食嚥下機能に不安がある人は、喉の筋肉を鍛える体操などで対策を
▽加齢で衰える嚥下機能
厚生労働省の人口動態統計によると、2017年の日本人の死因は肺炎が5位、誤嚥性肺炎は7位となっている。高齢者の肺炎では誤嚥性が多い。
誤嚥性肺炎は、飲み込んだ物が誤って食道ではなく気管に入ってしまうことで起こる。せき込んで排出できればよいが、排出できないと肺炎のリスクになる。過去に1回でも誤嚥や食べ物が喉に詰まった経験がある人は要注意だという。
「誤嚥しても、高齢者では症状が出ないことがあります。37.5℃以上の発熱が2~3日続く場合は、誤嚥性肺炎をうたぐって早めにかかりつけ医を受診してください」と千葉教授。
▽喉の筋肉鍛える体操
摂食嚥下機能の維持には、かむ力、舌で喉の奥に食べ物を送り込む力、飲み込む力が必要で、これらを鍛えれば誤嚥性肺炎の予防にもなる。舌の動きは、普段の会話で滑舌を意識したり、歌を歌ったりすることで改善される。「愚痴や小言も嚥下機能のトレーニングになると思えば、話さないよりはいいでしょう」
一方、飲み込む力を付けるには、喉の筋肉を鍛えることが大切だとして、千葉教授は、〔1〕頭部挙上訓練〔2〕嚥下おでこ体操〔3〕開口訓練―の三つの体操を提案する。
頭部挙上訓練は、あおむけに寝て、手は体の横に置く。肩を床に付けたまま、頭だけを足の爪先が見える程度まで上げ、10秒以上維持して戻す。最低5回繰り返し(1セット)、1日1セット以上行う。自分で頭を上げられない場合は、家族などに頭を支えてもらってもよい。本人が少しきついと思う回数を行うのがコツ。頸椎(けいつい)や血圧の管理は医師と相談する。
嚥下おでこ体操は、額に手のひらを当てて、顔はおへそをのぞき込むように下方向に、手の付け根は上に向かっておでこを押し戻すように上方向に力を入れて5秒間維持。10回1セットとして、毎食前に行う。
開口訓練は、これ以上開けられないというくらい口を大きく開いて10秒間キープ。10秒間の休息を挟んで5回繰り返す(1セット)。これを1日2セット行う。
千葉教授は「1週間継続すると明らかな効果が表れる方もいます。どれか一つでも、少ない回数でもいいのでやってみてください」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)
(2020/01/24 07:00)
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