治療・予防 2024/12/27 05:00
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体が感じる音や光、声などの感覚(感覚刺激)に敏感に反応する「HSP(Highly Sensitive Person)」と呼ばれる人がいる。他者に共感しやすい半面、気が付き過ぎて疲れやすいため、うつ病や不安症になる人もいる。最近、「生まれつき感覚の敏感な人」として認識が広まっているHSPについて、十勝むつみのクリニック(北海道帯広市)の長沼睦雄院長に聞いた。
“魔法の言葉”の言い聞かせが効果的
▽人一倍敏感で繊細
HSPは次の四つの特性を持つとされる。〔1〕物事をより深く考え処理する〔2〕刺激を過剰に受けやすい(物事から多くの情報を受け取る、絵画や音楽にとても感動する)〔3〕物事や刺激に対して感情の反応が強く、特に他者に共感しやすい〔4〕人が気付かないささいな刺激でも察知する―。
HSPは病気や障害ではないが、感覚刺激に過敏に反応してしまい、それを表現できず理解もされにくいためストレスをためやすい。ストレスに対する心身の反応が慢性的で過剰になると、体の調子を整えたり外敵から身を守ったりするための自律神経系や免疫系、内分泌系の働きに変調を来してしまう。その結果、うつ病や不安症などの精神症状、慢性疲労症候群や過敏性腸症候群などの慢性疲労状態、自律神経失調症状などが表れやすくなる。
こうした心身の症状から、HSPはわがままや怠け者と誤解される場合もあるが、自分たちとは違う敏感過ぎる人が周囲にいると認識してもらうことで楽になれる。
▽疲れたら休んで大丈夫
HSPは感覚刺激の多い環境下でストレスをためやすいため、刺激が少なく1人でいられる環境をつくることがとても大切になる。具体的には〔1〕周囲の視線や音から遮断された自分だけのスペースを確保する(パーティションや壁の利用)〔2〕疲労時や休憩時に1人になれる部屋や空間を確保する〔3〕その場の雰囲気を穏やかで居心地の良いものにする〔4〕評価や制限が少なく自分のペースでできる仕事をする―などだ。
また、HSPは他者の気持ちに敏感な半面、自分の感情や感覚には気付きにくく、自己肯定感が低く自己主張が苦手な傾向がある。「信頼できる人やHSPに理解のある人に助けを求めることが大切です。自分に“魔法の言葉”を言い聞かせるのも効果的です」と長沼院長。自分のおなかをさすりながら、例えば、「よく頑張っているね」と口にすると、ストレスを和らげられるという。
「就学や就業が困難になっても無理することはありません。必ず元気を取り戻す時が来るので、今は休んでもいいのです。他者も自分も責めることはありません」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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