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オストメイトも温泉OK
参加者「うれしいな」―企画ツアーに同行

 日本人は温泉が大好きだ。それは、オストメイトといわれる大腸がんや膀胱(ぼうこう)がんなどの病気で、「ストーマ」という人口肛門や人工膀胱を装着する人たちも変わらない。他の客の反応を気にするホテルや旅館などの受け入れ先が二の足を踏む中で、旅行会社とストーマ装具製造メーカーが企画した画期的な「オストメイト・ツアー」に同行させてもらった。

温泉を楽しむ参加者

 ◇温泉はいいねえ

 「温まった。やはり、温泉はいいもんだねえ」

 千葉県木更津市にあるホテルの大浴場で、2020年に80歳を迎える男性がうれしそうに話した。ストーマ装具を付けてから15年近くになる。記者も、大浴場で隣にお邪魔した。装具の上に肌色の防水シールを貼っており、ほとんど目立たない。

 「お風呂に入るのは週に2回。本当は毎日、入りたいね」

ストーマ装具=アルケア提供

 健康な時は、旅行が好きで北海道から東北、四国四県、沖縄など全国の各地を回った。しかし、今回のような「温泉旅行」は初めてだという。一緒に温泉に漬かった後で感想を尋ねると、「生まれて初めて、男同士の裸の付き合いを体験させてもらった。また機会があれば、来たいよ」。記者よりも人生の大先輩が「初めて」と言うのは謙遜だろうが、体だけでなく心も温まった。

 ◇自信が付いた

 東京から来た82歳の女性は、娘さん夫婦と共に参加した。ストーマの経験は2カ月だが、温泉に行きたかったという。娘さんによると、「母は好奇心が強く、打たれ湯も楽しんだ。他の皆さんも笑顔で、私もうれしい。ちょうど良い湯加減だった」と、温泉を満喫したようだ。娘さんは何より、「母が自信を持った表情に見えた」ことを喜んでいた。

 ◇これが普通の旅行に

 「ストーマ7年目でだいぶ慣れたが、漏れることが気になるストレスは変わらない」と語る参加者の50代の女性(東京)は、車による家族旅行を楽しんできた。温泉旅館も訪れたが、部屋に備えてある風呂や入浴する客が少ない朝食の時間帯を選び、浴場に行った。気を使うことが多かった。今回は一人で参加。家族から「楽しんでおいで」と、送り出されたという。

製品作りを体験する参加者たち=アルケアの工場

 「ちょうど良い湯加減だった。楽しかった。こんな旅行が普通になってほしい」

 ◇メーカーも励みに

 ツアーの後半では、ストーマ装具製造で日本で一つしかないアルケアの工場(千葉市)を訪れ、製品が出来上がる工程を見学した。これが、温泉入浴と並ぶ、今回のツアーの目玉だ。参加者は興味津々で、ロボットが次々に工程を繰り返す様子に目を見張った。

 同工場の責任者の1人は「私たちは日々、製品作りに心血を注いでいる。ただ、じかに利用者と接する機会がなく、大変励みになった」と語った。

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