治療・予防

口から飲むカプセル内視鏡
苦痛なく腸内の病変を検査(慶応大学病院内視鏡センター 緒方晴彦教授)

 大腸がん検診で受けた便潜血反応検査の結果が陽性なら、2次検査に進むが、内視鏡検査を勧められても「怖い」「痛そう」「恥ずかしい」といった理由で受けない人は多いようだ。その場合、口から飲み込むだけで、病変の有無が分かるカプセル型の内視鏡で検査する方法もある。

カプセル内視鏡の検査の流れ

 ▽敬遠される大腸内視鏡検査

 大腸がんは、日本人が罹患(りかん)することの最も多いがんだ。大腸にがんやポリープができると、消化管内で出血して便に混じることがある。1次検査で行われる便潜血反応は、その出血の有無から大腸がんの可能性を調べるものだ。

 慶応大学病院(東京都新宿区)内視鏡センターの緒方晴彦教授は「大腸がんは大腸内視鏡検査を受ければ早期のうちに見つけられる例が多く、治療により良好な経過が得られます。便潜血反応で陽性だったら、ぜひ内視鏡検査を受けてほしい」と話す。

 緒方教授によると、国内では血便が見つかった人のうち、精密検査(内視鏡検査)を受けない人が55%にも及ぶ。肛門から内視鏡を入れる大腸内視鏡検査は、「恥ずかしい」「痛そう」という理由で実施をためらう人が多いからだ。

 ▽腸内を移動しながら撮影

 大腸内視鏡は、小型カメラが付いた太さ約1センチの管を肛門から大腸に挿入して観察する。「これまでの検査で、患者が痛みを訴えて中止になったケースはありません。イメージが先行していると思われます」と緒方教授。ただし「特に女性の場合、恥ずかしいという気持ちは理解できます。カプセル内視鏡なら受け入れやすいでしょう」。

 カプセル内視鏡は、検査時に苦痛を伴わず、心理的な負担も少ない。長さ約3センチ、幅約1センチで、小型カメラが2個内蔵されている。あらかじめ下剤を服用した上で、これを水と一緒に飲むと、数時間で大腸に到達し腸内を移動しながら撮影。画像は体外の記録装置に転送される。医師はこの画像を読影して診断する。診断精度は、通常の大腸内視鏡検査に比べやや劣る程度という。使い捨てのカプセルは、当日中に肛門から排出されるので、回収キットに入れて廃棄する。

 今年度より適応拡大が認められ、癒着に加え、大腸が異常に長い過長症などがあって通常の内視鏡検査が実施困難な場合に、公的医療保険の対象となる。検査費用は3割負担で約3万円だ。それ以外は自費診療になるため費用は施設によって異なる。まだ検査可能な施設は多くないが、日本カプセル内視鏡学会のウェブサイトで探せる。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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