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昼間に比べて夜間は物が見えにくくなり、自動車の運転中に事故を起こすリスクが高くなる。これは目の仕組みによるものだが、特に高齢者では加齢の影響を受けるほか、目の病気が隠れていることも多い。東京大学医学部付属病院眼科(東京都文京区)の相原一科長に聞いた。
明るさに応じて瞳孔を調節する機能は、加齢により低下する
▽加齢で瞳孔の開閉力衰え
人の目は、光が少ない夜間などでは瞳孔を開いてより多くの光を捉えようとする。また、瞳孔が開くときはピントの調節が必要になる。相原科長は「目は網膜全体を使って明暗を捉えていますが、色を識別するのは網膜の中心部だけです。そのため、光が少ない夜間は色の情報も得にくくなります」と説明する。
特に高齢者は、加齢に伴う身体機能の低下で瞳孔の開閉力が衰え、さらに夜間の視力が低下する。視力低下は緩やかに進み、本人が気付かないこともあるため、夜間視力の低下による影響が大きい自動車運転に関しては、70歳以上に対し運転免許更新時に夜間視力の測定が義務付けられている。
▽40歳以上なら検査を
高齢者の視力低下は認知症との関連が指摘されている。また、視力が下がると活動性が低下して、ロコモ(運動器症候群)やフレイルのリスクが高まる。ところが、物が見えにくくなっても、「年齢のせい」と考えて、すぐに眼科を受診しない高齢者は少なくない。
夜間の視力低下は加齢だけでなく、白内障や緑内障、網膜色素変性症、糖尿病網膜症などの病気が原因で起こることもある。白内障は手術による治療が可能だが、失明原因の上位を占める緑内障、網膜色素変性症、糖尿病網膜症は、進行を遅らせる以外の治療選択肢がない。
「失明原因の第1位である緑内障は、40歳以上の約20人に1人と言われています。初期に自覚症状はなく、徐々に視野にかすみがかかってきたり、夜間視力の低下が見られたりする段階では、すでに進行しているケースが多いのです」と相原科長。
夜間に限らず見えにくさを感じたら、早期に眼科を受診して正しい診断を受けることが重要だ。「早期に治療を開始すれば、視覚障害を予防できます。特に40歳になったら一度視力、眼圧、眼底、視野検査を受けることをお勧めします」と相原科長は強調している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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