足の悩み、一挙解決

第9回 靴底の減り方で分かる足の問題点
~5パターンのうち4つはNGです~ 足のクリニック表参道院長 桑原靖

 自分が履いている靴の靴底が、どんな擦り減り方をしているか、見たことがありますか。次の五つのパターンが考えられ、どれに該当するかで、足のどこに問題があるのかが分かります。

 ①やや外側が減っている
 ②中心が減っている
 ③内側が減っている
 ④外側が減っている
 ⑤左右非対称に減っている
 
 ◇かかとやや外側は「正常」

 五つのパターンのうち、正常なのは①だけです。靴のかかとの外側が減っていると、O脚のせいだと気にする人が多いのですが、かかとのやや外側が減るのはむしろ正常なのです。

 歩くときの足の動きを考えれば、靴のかかとのやや外側が減るのが、ごく自然なことであると分かります。歩くときは、かかとの少し外側から着地し、次に足裏全体が着いて、足首が前に進んで親指の付け根で地面を蹴って抜けていきます。

 このとき、最初に地面に接するのは、靴のかかとのやや外側です。靴の裏側をひっくり返してみると、靴のかかとの外側が補強されていることが多いのはこのため。従って、かかとのやや外側とつま先のやや内側が減るのが正しいすり減り方です。

 ◇猫背や腰痛になりやすいパターン

 では、他のパターンがなぜ、いけないのかを見ていきましょう。

 ②の靴の中心が擦り減るパターンは、アキレス腱(けん)が硬く、縮んでいることが考えられます。縮んだアキレス腱に引っ張られて、体が後ろに傾き、重心が中心からかかとに偏ってしまいます。

 この状態だと、体がバランスを取ろうとして前かがみになるので、猫背になり、腰痛や股関節痛の原因にもなります。

 また、アキレス腱が硬い人は、足首を前に倒して体重を正しく移動させることができないため、足裏の接地後、すぐにかかとが浮いてきて、最後に股関節をギュッとねじって歩くような癖がついてしまいます。そして、このときの擦れが靴底に表れてきます。

 ③の靴の内側が擦り減るのは、かかとが内側に傾いた「過回内(かかいない)」の状態になっている可能性があり、さまざまな足のトラブルの原因になります。

 人間の足は、中心が真ん中の中指ではなく、人差し指にあり、そのラインの延長線上に、足のアーチの最も高い頂点がきます。足の中心から内側の親指側のほうが狭く、負荷がかかると弱いため、足は内側に傾きやすい構造になっています。

 このように不安定な構造になっているのは、歩くたびに足のアーチがほんの少したわむことで、衝撃を吸収し、効率よく蹴り出す力を生み出すためです。

 外反母趾や巻き爪の原因にも

 真っすぐ立ったときの足を後ろから見たとき、内側に倒れている状態を「回内」、外側に倒れている状態を「回外(かいがい)」といいます。

 回内が過剰になる(過回内)と、足のアーチがつぶされて、扁平(へんぺい)足になります。すると、たわみではなく、歪みとなり、外反母趾(ぼし)や強剛母趾、タコやウオノメ、巻き爪などのトラブルを起こしやすくなってしまうのです。


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